医療逼迫なら緊急事態宣言など検討 沖縄県
- 2022/1/14
- 新型コロナ・医療
沖縄県の玉城デニー知事は13日、新型コロナウイルスの感染が爆発的な速度と規模で拡大している状況が続いているとし、「今後さらに感染拡大が続き、医療が逼迫するようなら、政府への緊急事態宣言の適用要請や、酒類の提供自粛などを検討せざるを得ない」と強調した。濃厚接触者が急増して社会インフラに影響を及ぼすことについても懸念を示した。
同日、県内では過去最多となる1817人の新規感染が判明したが、現状では感染者の多くを若年層が占めるため、13日時点で入院者数は県全体で313人にとどまる。ただ、60~70代の患者では6.7%が中等症以上の症状となっているほか、濃厚接触者に該当するなどして欠勤している医療従事者も多数に上るため、今後は入院調整が困難になってくることも予測されるという。
同日時点で、県の警戒レベル判断指標は、新規陽性者数(直近1週間合計)がレベル4の「非常事態」に達しており、国基準の病床使用率と重症者用病床使用率も、県が緊急事態宣言を検討するとしてきたレベル3の「感染まん延期」に迫っている。
一方で、重症者用の病床を使用しているのは中等症の感染者で、ECMO治療などを受けている重症者はいないといい、これまでも県は「判断が難しい」としてきた。
玉城知事は会見で、緊急事態宣言の検討について「感染拡大の状況や、判断指標などを注視する必要がある。重症化の傾向や医療現場の状況なども勘案しながら総合的に判断していかなければならない」との認識も示した。
県では、感染拡大に対応するため、入院待機ステーション30床を12日から再稼働させたほか、那覇市内では19日から新たに宿泊療養施設約80室を開設する。また、県広域ワクチン接種センターを県北部合同庁舎(名護市)、結婚式場NBC沖縄(沖縄市)、那覇クルーズターミナル(那覇市)に設置し、2月初旬から接種を始めるという。
また、感染の急拡大で社会インフラへの影響が懸念されていることを受け、エッセンシャルワーカーと考えられるのは47業種約10万5300人と試算されると明らかにしつつ、「この半数が濃厚接触者の就業制限で業務停止となった場合、県民生活全体に深刻な影響が出ることも懸念される」と強調した。
その上で、「現在、国から派遣されているチームを介し、濃厚接触者の就業制限について、県の実情に応じた柔軟な運用ができるよう基準の見直しや必要な財源について調整している」と説明した。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞)