2021沖縄の災害を振り返る(下)沖縄の代表的な災害、台風
- 2022/1/2
- 社会
2021年が終わり、2022年が幕を明けた。昨年も各地でさまざまな災害が発生した。前半では、昨年から運用が始まり、沖縄で全国の初の情報が発表された「顕著な大雨に関する情報」や「熱中症警戒アラート」、新型コロナウイルスの影響や地震、そして現在も続く軽石漂着などを振り返った。
後半は、沖縄の代表的な災害といえる台風を取り上げる。昨年は4月23日に沖縄へ接近した台風2号から、10月14日に熱帯低気圧となった台風18号まで、9個の台風が沖縄に影響を及ぼした。
なおこの記事では、気象庁や関連する省庁、また各種の報道や研究機関が発表した災害に関する情報を参照している。
2021年に最大の被害をもたらした台風は?
【台風2号】
昨年4月14日にパラオ・カロリン諸島で発生し、太平洋を沖縄の南へと北上した。4月の台風として最も低い895hPa台を記録し、沖縄に接近する1週間前の4月17日には高波への注意が報じられている。4月23日には大東島地方に暴風警報が発表された。この時期に実施されていた新型コロナワクチンの一斉接種にも、副反応時にヘリでの搬送が不可能なため離島での実施が延期される事態にもなった。
【台風3号】
6月4日から5日にかけて、東シナ海を通過した。沖縄では大雨への警戒が呼びかけられた。
【台風6号】
7月18日に日本の南で発生した台風6号は、速度が遅くまた複雑な経路を進み、昨年沖縄に最も被害をもたらした台風となった。7月19日には、ほぼ停滞して大東島地方に波浪警報が出た。同日に沖縄県中学校総合体育大会の延期も発表され、沖縄本島にも影響が出始めた。7月20日は大東島付近でほとんど停滞し、沖縄本島地方にも夜には暴風警報が発表され、那覇空港の発着便も欠航した。その後7月21日にかけて沖縄本島へ接近し、那覇、宮古、石垣の各空港を発着する便が終日欠航したほか、新型コロナワクチンの集団予防接種も中止となった。沖縄本島中南部の公立学校も休校となったが、一方で路線バスとモノレールは通常運行された。7月21日朝に宮古島地方に暴風警報が発表されたが、沖縄本島では昼に暴風警報が解除されている。夜に八重山地方にも暴風警報が発表され、7月22日は先島諸島付近でほとんど停滞し、宮古や八重山では暴風が続いた。7月23日には沖縄本島地方に再度接近し、土砂災害警戒情報も発表され、各地で避難指示なども発表された。7月24日、宮古島地方と八重山地方で暴風警報解除された。宮古島では実に79時間に渡る暴風警報の発表だった。
この台風では、南城市役所の電話回線が一時不通となり、名護市ではビルの外壁タイルが落下した。また離島では特に影響があり、各地で生鮮食品が不足したほか、宮古島ではサトウキビの92%になんらか影響があり、沖縄県内農産物の被害総額は4億以上となった。
宮古島では2年連続で旧盆の台風
【台風9号と台風10号】
台風6号の大きな被害が残る中、8月5日に台風9号と10号が発生した。台風9号は東シナ海海上を進み、10号は沖縄本島近海から太平洋へと進んだ。台風10号は南大東島で記録的大雨を降らせ、8月6日に発達しながら沖縄を離れた。一方、台風9号は8月7日に沖縄へ接近し、強風への注意が呼びかけられた。
【台風12号】
8月22日に宮古島へ接近し暴風警報が発表された。宮古島では2年連続となる旧盆の台風となった。同日昼頃に最接近し、翌日8月23日早朝に宮古島が暴風域から抜けたが雨が続いた。
【台風14号】
9月12日に先島諸島へ接近し、宮古空港と石垣空港を発着する全便が欠航となった。与那国島では最大瞬間風速45.5mを記録した。石垣市では70代男性が転落し負傷したほか、220世帯で停電が発生した。
【台風16号】
9月23日マリアナ諸島で発生した後、ゆっくりと太平洋を北上した。沖縄には近づかなかったが、9月28日には沖縄周辺でも高波による影響があり、那覇と鹿児島を結ぶフェリーの運航にも影響が出る可能性が報じられた。
【台風18号】
発生後、フィリピンの南で停滞した後、10月9日夕方から大東島地方で強風。10月10日は沖縄本島地方でも海が大しけとなり、高潮への警戒が呼びかけられた。10月11日に宮古島で最大瞬間風速25m超え、宮古空港と石垣空港を発着する便が欠航となった。10月12日に沖縄を離れた後も大雨による影響が残った。
以上、2021年に沖縄で起きた災害を振り返った。梅雨や台風など、毎年繰り返し発生する災害はもちろん、年明け後に至っても収束の兆しが見えない新型コロナウイルス感染症、遠く離れた小笠原諸島の海底火山噴火による被害など想定出来ない災害もあった。筆者も、このように災害を振り返った上で、起こる災害へ備えつつ、新しい年を過ごしたいと考えている。