災害時に仮設宿泊所に 出動可能ホテル、うるま市に県内2カ所目

 

 コンテナ建築やホテル事業などを手掛ける株式会社デベロップ(千葉県)は10月下旬に、沖縄県内では宮古島市に次いで2カ所目となる“災害時に出動可能なレスキューホテル”をうるま市塩屋にオープンする。ホテルの名称は「HOTEL R9 The Yard うるま」。1棟1棟が車輪の付いたコンテナとして独立しており、平時にはコテージ形式のホテルとして稼働する一方で、災害時などには必要とする場所での仮設宿泊所として機能することができる。9月10日現在で国土交通省を含む全国の自治体64カ所と災害協定を結んでおり、宮古島市とも協定締結に向けて協議を進めている。うるま市とも今後、協定を協議する予定だ。

客室は車検が必要な本格車両

 新しくうるま市にオープンするホテルは全34室をそろえている。ガスや水道の管が外部から取り外し可能な形で設置されているため、有事には迅速に現場へ向かうことが可能となる。車輪付きの客室は車検が必要な“車両”で、本格的な移動ができる。

車輪のついたユニット
各ユニットについたけん引フック

 新型コロナウイルスのクラスター発生時に、応援対応に入る職員向けの宿泊先としての活用も想定されており、すでに同社は県内1つ目の同ホテルがある宮古島市とコロナ対策についての応援協定を結んでいる。

 コロナ対策の応援協定とは別で、災害協定については今後、宮古島市やうるま市のみならず、周辺自治体とも締結を目指す。学校の運動場や広い駐車場などに客室を移動し、避難所として使うことができる。

 また、各部屋が独立したユニットであることから、同社の小原衣代さんは「避難所での感染症対策が懸念されている中、三密を回避できます。ベッドを取り外すなどして内装を変更することで、診察室などにも作り替えることができます」と、移動性以外のメリットも説明する。

 同社ホテル事業部沖縄ブロックマネージャーの菅原祐介さんは「行政が仮設宿泊所を作ろうと思えば、土地の契約や整地、設置などにかかる時間が膨大です。有事の時にはすぐに駆け付けることができます」と、客室を眺めながら話す。

客室の一例
ランドリーや自動販売機室も完備

 ホテルの位置するうるま市塩屋や周辺地域は近年都市開発が進み、商業施設や工業団地が整備されるなど、ホテルそのものの需要も高まっている。取材日にも、近隣で現場作業を抱える経営者らしき男性が訪れ、職員の宿泊先としての利用を菅原さんに相談していた。

きっかけは東日本大震災

 もともとデベロップはコンテナメーカーとしてトランクルームや住宅を製造販売していた。2011年の東日本大震災の際に、コンテナ型備蓄倉庫や復興事業者用宿泊施設の建設などで被災地・被災者の人々と向き合い、災害支援の在り方を模索し続けてきたことが、レスキューホテル事業構想の始まりだった。宮城県石巻市でその役目を終えた復興事業者用宿泊施設を再利用し、2017年10月に栃木県にホテルとしてオープンさせたことで「移設ができる」ことに着目した結果、レスキューホテルの展開に至った。以来約3年で北関東を中心に全国展開し、うるま市が28施設目。来年5月までに41施設をオープンさせる予定だ。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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