沖縄電力が家庭用料金4割値上げへ 来年4月から 赤字見込み

 
沖縄電力の吉の浦火力発電所=沖縄県中城村

 沖縄電力株式会社は28日、来年4月から「規制部門」の電気料金についての値上げを経済産業省に申請した。同省は同日、これを受理した。一般家庭向けの契約プラン「従量電灯」での平均的な例として1カ月あたり260kWhを使用した場合、料金は従来の8,847円から12,320円まで上り、39.3%の大幅増となる。ウクライナ情勢による資源価格の高騰や円安の進行により、燃料費や他社購入電力量などの燃料関連費用が急増したことなどで、過去最大の純損失が見込まれるという。同社は「最大の使命である電力の安定供給を継続するための苦渋の決断」だとしており、経営合理化を徹底していく。

業務用は約5割値上げの場合も

 値上げの申請については、経済産業省の認可を受けて正式に決定するため、実施日や料金については変更となる可能性がある。

 規制部門について、オフィスや商業施設向けの契約プラン「業務用電力」では、500kW未満の契約で40.7%増、500kW以上の契約で42.6%増となる。工場向けの契約プラン「高圧電力」では、500kW未満の契約で46.8%増、500kW以上の契約で48.9%増となる。規制部門の全契約種別の平均値上げ幅は43.8%。

 同日には四国電力株式会社(香川県)も規制部門の値上げ申請を行った。平均値上げ幅は28.1%。

 「グッドバリュープラン」「プレミアムバリュープラン」などの「自由化部門」についても規制部門と同時期の値上げを行うとしている。

人件費の削減など進める

 沖縄電力のここ数年の経常利益は、2020年度が89億円、2021年度が5億円と年々縮小を続けており、今年度は485億円の赤字を見込んでいる。さらに、今年度のフリーキャッシュフローはマイナス804億円で、有利子負債残高は2,817億円に達することから、現状のままだと今後の資金調達にも支障をきたす恐れがあるという。

 併せて同社は人件費の引き下げなどにより経営効率化も進める。2023年から2025年の3年間平均で、役員給与を51%減、社員向けの手当を20%減とし、人件費約21億円を低減させる。燃料費については調達方法や調達先の多様化、発電単価を考慮した運用効率化などで97億円を低減させる。その他、修繕費などの経費も含めて合計で年間平均136億円を低減させる計画だ。

 同社は今回の引き上げ申請について「お客様にご負担をおかけすることとなり、大変心苦しい限りですが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます」としている。HP上では、料金比較がシミュレーションできるページや、節電や省エネにまつわる情報を公開している。

 「電気料金値上げに関する専門ダイヤル」はフリーダイヤル0120-586-704。


長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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