誰にどんな価値を提供するのか 沖縄観光の「質」向上に必要なこと(1)

 

「沖縄観光の質向上には消費者視点のブランディングが必要となる」

 沖縄県と沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)が3月1日に那覇市内で開いた観光人材育成・確保促進事業シンポジウムで、基調講演の講師を勤めた「株式会社 刀」のシニアパートナー・加藤健史氏はこう繰り返した。

 この日は「沖縄観光の質的転換を目指して」をテーマに、加藤氏の講演と星野リゾート沖縄読谷事業所の総支配人・澤田裕一氏を交えたパネルディスカッションが行われた。

アジアで最もブランド力を持つ可能性

 加藤氏が講演で最も強調したのは、業種を問わず、消費者を起点に考えてブランドを構築していくということだった。テーマパーク経営のプロフェッショナルとして大阪府のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のマーケティングも手掛けた経験も踏まえ、「誰にどんな価値で何を提供するのか」という大前提に基づく売れる仕組みを作ることの重要性について説明を重ねた。

ブランディングの重要性について説明する加藤健史氏

 観光という観点から言う「質」には、ターゲットの質と提供する価値の質との2つの意味があり「マーケティングの思考で言えば、消費者目線で考えながら、両方を同時に高めていく必要がある」と説いた。

 その上で、沖縄観光のポテンシャルについて質と量ともに向上させることができれば「将来的にアジアを中心にハワイよりも巨大な人口圏からの観光客取り込みも可能」で、さらには「アジア内で最もブランド力を有するプレミアムリゾート地になりうる」とも述べた。

 ただし、現在はコロナ禍で旅行者がいつ戻ってくるのか分からない。そこで大きなポイントになるのが、旅行者が動き出すタイミングで、旅行先のリゾート地として沖縄が選ばれる確率をどれだけ上げられるかということだという。

「海外旅行ができるようになれば、消費者はほぼ同じタイミングで一斉に行き先を選び始める。その時までに沖縄がどれだけ事前に準備できるのかは、今後の観光地としての発展に大きく関わってくる。アジア圏約20億人に対して、どうすれば『沖縄に行きたい』という気持ちを高められるように働きかけるかを考えていく必要がある」

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