コロナ禍の給食需要減で酪農家悲鳴 亜熱帯沖縄の特殊事情も追い打ち

 
餌を食べる乳牛=4月、八重瀬町の浦崎牧場

 沖縄県内の酪農家から悲鳴が上がっている。コロナ禍による休校措置で出荷先の大半を占める学校給食用の牛乳需要が大幅に落ち込み、さらに世界的な飼料の高騰が追い打ちを掛ける。県外に比べ、沖縄は夏場の暑熱対策でより生産コストがかさむため、各農家の経営は綱渡りの状態だ。

 1980年代前半のピーク時には200戸を超えていた農家数は減少の一途を辿り、2021年度は53戸まで減った。農家は「県内の生産量が減れば県外からの仕入れが増え、牛乳の販売価格が上がってしまう」と危機感を募らせる。

損失額2277万円 県に補填を要請

県内の厳しい現状を説明する県酪農農業協同組合の神谷翔平組合長=八重瀬町の同組合

 「牛は生き物だから急に生乳の生産を止めることはできない。給食への供給が止まり、行き場を失ってしまった多量の余剰乳ができてしまいました」

 県酪農農業協同組合の神谷翔平組合長(34)が事の発端をそう説明する。小中学校の給食は県内農家の出荷先の半分近くを占めており、農家は卸先の確保に迫られた。

 県内の乳業メーカー3社の協力を得て加工乳や乳飲料などへの生乳配合率の引き上げを行なったり、県外移出による脱脂粉乳、バター製造などへの加工処理向けに出荷したりする余剰対応を実施。しかし、いずれも学校給食向けの卸単価を下回り、特に加工処理は給食の半分以下の単価となるケースもあり、農家の手取り額は極端に落ち込んだ。

 厳しい状況を受け、組合は学校の休校措置や分散登校が行われた2021年6月と8月、2022年1月のそれぞれの影響額を算出。給食用に出荷していた場合との差額を計算し、損失額は合計で2277万6077円に上った。

 この額について、組合は県に補填を要請している。神谷組合長は2021年度に1戸の新規就農があったものの、それを上回る4戸の離農があったことに触れ「給食が止まり、これだけ収入が落ち込んでいる。借入して赤字経営するくらいなら辞めるという人も出ている」と現状を説明し、応急的な支援の必要性を訴える。

 今年の県議会2月定例会で、県農林水産部の崎原盛光部長は「大変厳しい状況と認識している。生産性向上、コスト低減など経営力強化につながる取り組みへの支援を行いたい」と答弁した。県畜産課は補填が可能かどうかも含めて「検討中」としている。

続く飼料高騰 ウクライナ危機が拍車

 飼料価格の高騰も経営に影を落とす。神谷組合長は「5、6年前から価格はずっと上がってはいる」というが、昨年からは「めちゃくちゃ上がってる」とため息をつく。

 例えば畜産に欠かせない配合飼料。農林水産省の「農業物価指数」によると、乳用牛飼育用の配合飼料小売価格(消費税込み)は2020年12月時点で1トン当たり71,470円だったが、その後は右肩上がりで上昇し、同6月に80,220円まで上がって8万円代に突入。2022年2月には86,630円に達した。

 配合飼料はほぼ輸入に頼っており、中国での需要増加や円安傾向、原油高による輸送費の上昇など様々な要因が背景にある。さらにロシアがウクライナに侵攻したことで穀物産地である両国からの輸出も停止し、今後高止まりが続くと見られる。

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