沖縄振興、世界遺産登録、予算計上1兆円… 県が重大ニュース発表
- 2021/12/21
- 政治
玉城デニー沖縄県知事が12月17日の定例会見で、2021年の「沖縄県政の重大ニュース」を発表した。県庁内にある10の部局からそれぞれ上がってきた今年のトピックとして、沖縄振興に向けた取り組みや首里城復興基本計画の策定、名護市辺野古の埋め立て変更申請の不承認処分など、全13項目を挙げた。
復帰から50年、振興のあり方は
企画部の2022年度から始まる「新たな沖縄振興に向けた取組」を巡っては、根拠法となる現行の沖縄振興特別措置法に替わる新法について自民党の沖縄振興調査会が適用期限を従来の10年から5年に短縮する案を現在議論している最中だ。1972年の本土復帰から50年、沖縄の社会基盤整備においてある程度の役割を担ってきたことは否定できない一方で、高率補助や財政依存体質の弊害も指摘されてきている。
未だ米軍基地の負担を抱えざるを得ない状況で、他府県と全く同等の仕組みを受け入れるべきかどうかについては公平性の点でも議論が必要だろう。
ただ、県側でもこの50年間の課題をきちんと総括できているかどうかについては疑問を抱かざるをえない。昨今「持続可能性」を強調しているが、そのための振興のあり方についての具体性は振興計画に見出せない。今後どれだけ具体性を持たせて国との調整を重ねられるのかに注目したい。
明るい話題には大きな課題も
環境部の「奄美・沖縄の世界自然遺産登録」は、深刻なニュースが続くコロナ禍で明るい話題として全国的にも大きく報じられた。世界基準の知名度を得ることで、今後の観光客などの誘客にも地元の期待がかかる。
ただしその一方で、自然の保全に関する課題も多い上にハードルが上がる。既に自然遺産指定区域内での落書きや不法投棄なども見つかっていることに加え、かつて米軍が訓練場として使用していた際の廃棄物が放置されており、手放しで喜べない面もある。
総務部の「初の1兆円超の予算計上」については、新型コロナウイルスの影響が長期化したことに加えて軽石問題への対応もあり、20次に渡る補正予算(約2,529億円)を編成したことで、初めて1兆円を超える予算規模となった。
今年2月に県が発表していた2021年度一般会計当初予算案は総額で7,912億円となっており、この時点で既に過去最大の計上だったが、相次ぐ補正予算でさらに額が膨らんだ。爆発的な感染拡大が起きてしまいコロナ対策が喫緊だったとは言え、財政規律の観点からみると懸念は拭えない。
上述したものも含めて、知事が発表した重大ニュースの項目と担当部局は以下の通り。
◆首里城復興基本計画の策定(知事公室)
◆初の1兆円超の予算計上(総務部)
◆新たな沖縄振興に向けた取組(企画部)
◆奄美・沖縄の世界自然遺産登録(環境部)
◆「沖縄県性の多様性尊重宣言(美ら島にじいろ宣言)」発表(子ども生活福祉部)
◆「公立沖縄北部医療センター基本構想」策定(保健医療部)
◆全ての含蜜糖製糖工場の更新整備が完了(農林水産部)
◆沖縄県クリーンエネルギー・イニシアティブを発表(商工労働部)
◆東京2020オリンピック・パラリンピック大会聖火リレー実施(文化観光スポーツ部)
◆普天間飛行場代替施設建設事業係る埋立地用途変更および計概要変更承認申請に対し不承認とする処分(土木建築部)
◆座間味村阿嘉・慶留間地区への水道広域化の実施(企業局)
◆新型コロナウイルス感染症への対応(病院事業局)
◆小中学校全学年における少人数学級を実現(教育庁)