一番に伝えたい「楽しんだ」~パラ車いすマラソン喜納選手帰沖~

 

特別な舞台で得られた糧

 「(海外トップ選手たちは)大ベテランや、自分より若くてもパラ陸上では自分よりキャリアがある人も多かった中で、駆け引きのあるレースはすごく久しぶりでした。私がこれまで経験してきた駆け引き以上にパラリンピックの舞台は全然違った激しいレース展開がされていて、すごく勉強にもなりましたし、今後につなげていきたいと思っています。そして日本のレジェンドで4位に入った土田和歌子選手は、トライアスロンもやりつつマラソンでもしっかり成績を残してすごく尊敬しますし、私も頑張っていかなきゃと思わせてくれる先輩と一緒に走れたことが大きかったです」

 そして最後に、沖縄からエールを送ってくれた人たちへのメッセージを語った。

 「タイムがどうこう、結果がどうこうというものとはまた違った雰囲気というか空気がある特別な大会だなと強く感じました。そして本当に今回応援が力になりました。”楽しんで”という言葉を掛けて下さる方が多くて、その言葉を思い出しながら苦しさよりも、楽しんでしっかりレースを走ることが重要なんだなと思いました。“楽しんできたよ”とまず一番に伝えたいと思います」

背中に輝く翼が見えた

 喜納選手の両親にも話を伺った。父の肇さんは「雨のコンディション以外は良かった。大変だったと思うが、ケガなく完走できたことにホッとしているのが率直な気持ちだ」と述べた。

「彼女は登りが苦手な部分があるのでたいへんな思いで、コーチの素晴らしい指導のもと頑張ってやってきましたが、そこをどうにか克服できたかなという感じはしました。世界で戦っている選手というのは(登坂でも)ガンガン攻めてきますので、いい経験になったのではないかと思います。本人はとても悔しかったと思いますが、よく頑張ってくれたと思います。最後まで一生懸命前を向いて、彼女の背中に輝いている翼が見えましたよ。コバルトブルーでした。(笑)」

 母の貴子さんもまずは我が子のケガの無い元気な姿に胸を撫で下した。間近で応援できないもどかしさもありながら、負けず嫌いの娘の奮闘を信じて、その姿が国立競技場に戻ってくるのを待った。

 「(コロナ禍で)2年くらい外国のすごい力のある選手たちと走る機会が無かったので、彼女自身久しぶりの楽しいレースだったのかなと思います。本人ももっと頑張ろうという気持ちになってくれたのではないでしょうか」

母・貴子さんと父・肇さん

 車いすマラソンのシーズンは本来ならばまだ序盤。新型コロナが開催にも影響を及ぼすが、10月の東京マラソン、11月の大分国際車いすマラソンと国際大会が続く。中止の可能性も大きい中ではあるが、喜納選手は帰沖後すでにトレーニングを始めている。「形になるもの(メダル)を残したかった」と、ポロっと悔しさも漏らした、彼女の視線はすでに次戦へと向いている。大舞台でさらに輝きを増した翼は、沖縄のパラスポーツをさらに活性化させてくれるに違いない。


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