ハンド五輪日本女子代表アナリスト嘉数氏が視る沖縄ハンドの未来
- 2021/9/2
- エンタメ・スポーツ
沖縄が全国に実力を誇る「ハンドボール」。今回の東京オリンピック女子ハンドボール日本代表には、選手ではなくチームスタッフとして、彼らとともにオリンピックを戦った沖縄出身者がいました。戦術分析などを行うアナリストの嘉数陽介(かかず・ようすけ)さんです。ハンドボールが盛んな沖縄では特に関心も高く、惜しくも男女ともに予選ラウンド敗退という結果でしたが、歴史的な決勝トーナメント進出に期待も高まる熱い戦いを見せてくれました。チームの一員として臨んだ嘉数さんが振り返るオリンピックと、沖縄、そして日本が秘める今後のハンドボールの未来に迫ります。
「アナリスト・嘉数」の欠かせない役割
アナリストとは、一言でいうと、戦術的に相手チームや自らのチームを分析するチームスタッフのこと。各種戦術データを収集・分析・整理するとともに、試合中の関連シーンを動画編集して、監督や選手たちにこれらを提示するが主な役割で、真に必要なデータを見極める戦術眼や、時機を逃さず提示できるスピード感などが求められます。
県内でも特にハンドボールが盛んな浦添市出身の嘉数さんには、興南高校主将としての全国制覇など選手としての華々しいキャリアもありますが、「最後、東海大学で選手を引退するころから、指導する側の活動も意識するようになりました」。大学卒業後から、「縁やタイミングに恵まれて」女子日本代表のアナリストとして帯同するチャンスを掴み、現在のようにチームに貢献するまでに成長してきました。
嘉数さんは、アナリストとして最も大切にしていることがあるといいます。
「データに踊らされないことです。例えば、必要な情報であっても、動画で見せて強く印象付けるのと、言葉だけで伝えて本質を理解するにとどめるのとでは全然効果が違います。チーム全体の状態や伝えたい内容を考慮して、その都度ベストな情報量やタイミングをコーチングスタッフと模索します。多くの選手には、自分で必要な情報を選んでインプットし、自ら考えてプレーに繋げる習慣が身についています。これは最も大事なことで、僕はこのサイクルが少しでも機能するよう、選手達がいつでも情報にアクセスできる環境整備に、可能な限り取り組んでいました」
外国人監督や個性豊かな選手たち一人ひとりとのコミュニケーションも大事にしながら、データを過不足なく有効活用して、チームの推進力となるのです。