キングス新シーズン幕開け目前!稲垣AC、山下スキルコーチのキーマン2人に迫る
- 2022/9/30
- エンタメ・スポーツ
10月1日、いよいよプロバスケットボールBリーグ1部の琉球ゴールデンキングスの2022-23シーズンが幕を開ける。オフには田代直希主将の待望の復帰や、強豪千葉ジェッツの主力だったジョシュ・ダンカンの獲得など明るいニュースが続いた。牧隼利や渡邉飛勇も復活に向けて調整しており、初の頂点に向けて陣容は整いつつある。
新戦力は選手だけではない。新チーム初のお披露目となった9月10日の仙台89ERSとのプレシーズンゲーム後、桶谷大ヘッドコーチ(HC)は記者会見で「昨季からアップグレードしたい点」を聞かれ、こう言った。
「昨シーズンはオフェンスの得点効率がそこまで上がってなかった。そこを上げるため、オフェンスが得意な稲垣敦アシスタントコーチ(AC)に入ってもらった。チームとして状況判断をより良くする。山下恵次スキルコーチも入ったので、オフェンスをもっと強化したいです」
指揮官からオフェンス力の向上というミッションを託された稲垣ACと山下スキルコーチ。キングス躍進の鍵を握る新入団の2人に迫る。
分厚い海外経験、名将の下で学び重ねる 稲垣AC
稲垣ACは東京都出身の38歳。身長158センチと小柄ながら、高校途中で米国に留学し、カリフォルニア州立大学チコ校を卒業。旧bjリーグの埼玉ブロンコスを経てノルウェーやイタリアのリーグでもプレーし、世界を股にかけて挑戦を続けてきた生粋の開拓者だ。
もともとコーチに興味はなかったというが、アジア・オセアニア地域の若手有望選手を集めて毎年中国で開かれる「ナイキ・オールアジア・キャンプ」で出会ったNBAのコーチに影響を受け、コーチの道へ。「厳しさもあるけど、すごい思いやりのある方でした。その姿を見て、『この人みたいになりたい』と思いました」
2017-18シーズンに群馬のACに就任し、コーチ歴を開始。翌季から2シーズン、ACとして所属した宇都宮で早速転機が訪れる。
「ブレックスの時はHCだった(安齋)竜三さんがディフェンスに誇りを持っているコーチだったので、2シーズン目は少しオフェンスを任せてもらいました。その頃から、少しずつオフェンスの方に興味を持ち始めました」
さらに昨季の2021-22シーズンは西地区3位でチャンピオンシップに進出した名古屋ダイヤモンドドルフィンズのACに就き、アップテンポなスタイルでチームオフェンスの構築に定評のあるショーン・デニスHCの下で見識を深めた。「彼とはバスケ感がすごい合いました。タイムアウト後のプレーをショーンと相談させてもらったりして、責任をもらいながらバスケを学べた。まだ自分で強みとまでは言えませんが、僕の中で少しずつ(得意分野が)オフェンスの方なのかなという感じはあります」と感触を語る。
キングスに入団する決め手は、桶谷HCから言われた言葉だった。「桶谷さんから『キングスは素晴らしいアリーナができて、環境は整った。あとはチームをつくる人材としてどういう人を取るかが、外に発信するメッセージになる。だから稲垣君がほしい』と言われて、すごいうれしかったです」と振り返る。期待感が強い分、プレッシャーもあるが、「プレッシャーと同時に喜びがあった。だからこそ、大きな挑戦ができると思いました」と、選手の頃から変わらない強いチャレンジ精神をのぞかせる。
宇都宮時代、共にチームを支え、厚い信頼を寄せる畝挟孝洋ストレングス&コンディショニングコーチもキングスに所属しており、「彼がいることも一つの決め手でした」と笑顔を見せた。
ポイントは「スペーシング」と「判断」
前述したように、今季のキングスはテーマの一つに「得点効率の向上」がある。今月26日の記者会見では、桶谷HCが「昨シーズンは相手にゾーンをやられたり、インサイドを絞られた時に点数が止まった試合が何回かあった」と振り返った通り、昨季はインサイドのディフェンスを固められた時にパスの流動性が停滞して得点が伸びない場面もあった。
稲垣ACはオフェンス面で改善したい部分に「スペーシング」と「判断」の2つを挙げる。その上で、こう続けた。「中を収縮された時にオープンな選手はつくれてますが、そこにパスが行かないということも多かった。スペーシングで少しルールのようなものが決まっていくと、どこにどの選手がいるということが各選手の頭の中にできるので、判断の助けになる。あとドリブルの回数を少なくして、もっと選手の動きを出したいと思っています」
今季、桶谷HCが「ポジションレス」を掲げ、日本人を中心に各選手がボールハンドラーの役割を担う方針については「全員で役割を負担すれば、それぞれの負担も減る。選手たちも単純にコーナーで待ってるだけじゃつまらないじゃないですか。キングスはそれぞれが素晴らしい選手で、特徴もある。5人全員で戦い、一つの生き物のようなチームをつくりたいです」と自身が描くチーム像を語った。