新世代、世界のウチナーンチュ 5)台湾で留学情報発信・篠隈わか乃さん

 

 現在の大学を選んだもう一つの大きな理由に「在学中の半年間は海外の大学に留学して単位交換ができる」ことがあった。もともと欧米への留学も視野に入れていた篠隈さんにとっては好都合だった。しかしこのコロナ禍が世界を直撃した。「世界的なコロナ禍の中、うまく感染を押さえ込んでいた台湾でも感染者が増え、大変残念ながら状況は厳しくなっている」

 私の住むシンガポールでも、国境を超えた往来が難しく、留学やインターンシップができなくったという話もよく耳にする。私の長男も2年後にはインターンシッププログラムがあるので、身近に感じる問題である。若い世代への影響、地球の未来を背負う世代への影響は最小限にしなければならない。是非国際的な取り組みによる解決が必要であると強く感じる。 

「家族関係のカウンセリングシステムを日本企業に」

 篠隈さんは卒業後日本での就職を考えている。もともと、海外のカウンセリングシステムを“輸入”したいとの思いを持って、台湾の大学に進学した経緯があった。「人事、人材育成、社員同士や社員の家族関係のカウンセリングシステムを日本企業に反映させたい」と、よりよい企業環境を作り上げていく構えだ。また、 海外にいると日本のことについてよく聞かれた経験から「日本人として日本のことを今一度、見つめなおしたい」と考えており、今後のキャリアを日本で重ねることに決めた。

 篠隈さんにはとても大きなことを成し遂げたい夢がある。「笑われるかも」と前置きした上で語ってくれた。 「自分の学校を建てたい。世界中に。学生たちに色々な選択肢を与えられる場所を作りたい。ほとんどの人は親の影響もあり歩む道が決まっているような状態で、他の選択肢に巡り会う機会が少ない。例えば自分が台湾の大学を選択できたように、固定された価値観でなく個々を伸ばせて、家族までも一緒に成長できる学べる場、学校を作っていきたい」。篠隈さんは笑われるかもと言ったが、私は想像できる夢は達成可能であると考える。彼女なら自然体で実現するのでは、と感じさえした。

 最後に沖縄の若者へのメッセージとして「とにかく挑戦をして欲しい」。篠隈さん自身も、これからも積極的に色々な人と知り合い、自分自身に見ていないものが見えている人と繋がりたい。挑戦することを忘れず、より多くのものを見たいと考えている。「新しい風を吹かせられる人材になりたい」と力強く話してくれた。

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