新世代、世界のウチナーンチュ 5)台湾で留学情報発信・篠隈わか乃さん

 

“沖縄から近い”異文化に関心

 篠隈さんは若いのに多くの経験をなされていることに驚いた。 両親は仕事で長くドイツに住んでいた。お母様はドイツの幼稚園で勤務されていた経験があり、お父様はドイツの大学を卒業し貿易会社を経営していた。篠隈さんの生まれは神奈川県だが、そんなご両親の影響もあり、日本にいながら6歳までドイツの教育システムを受けていた。少人数制で固定された時間割や教材もなく、厚紙でできたノートを自身で作成するなど自主性を重んじる教育方法だ。

 6~7歳の頃、ご両親の都合で、それまでの環境とは大きく異なる宮古島に移住する。そこでウチナーンチュの温かい心に触れた。「宮古島の自然の中で、宮古島の人達の温かさなどに触れて育ったことに今でも感謝していて、人生の大きな財産になっている」と語る。中学3年時には交換留学で2週間ハワイへ行くなど、両親の影響もあって宮古島からも常に海外に目を向けていった。国際文科があり、英語も中国語も勉強できる向陽高校に入学、それに合わせて沖縄本島に移り住んだ。高校在学中にも1ヶ月間の上海短期留学を行うなど英語と中国語を鍛えて大学進学に備える。

 そんな高校時代が彼女に転機をもたらした。中国語圏の言語や分野への関心が高まったことだ。「最初は欧米に興味があったが、沖縄のすぐ近くにも違う言語や文化があると気がついた」

 中国語圏への留学先として中国も考えたが、台湾にも惹かれていった。きっかけは、沖縄にある台湾留学のための予備校の講演会に参加したことだった。調べていくと、台湾は親日的な人が多いことを知り、また欧米諸国への留学と比べると金銭面でもとても魅力的だった。その予備校に入学し中国語の勉強と台湾の大学への申請手続きの準備に入る。大学受験資格として最低800時間の中国語の勉強が必要であったが、なんと篠隈さんはその倍近くの1500時間の学習をこなすなど徹底的に中国語を勉強した。

台湾で「家庭学部」に 家族の在り方を探る

 入学したのは国立台湾師範大學人類発展家庭学部だ。学部内でただ一人の日本人で、現在は3年次だ。「家庭」に焦点を当てた学問分野を専攻しており、主に家族教育、親子間関係、夫婦間関係、家庭内暴力の解決、離婚率の抑制などについて学んでいる他、社会学と心理学の視点も合わせている。家庭学部はアジアではとても珍しい学問分野である。

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