大開運シーサー職人の野望「首里城福光シーサープロジェクト」とは

 
巨大シーサーイメージ

 沖縄に昔から守り神として伝えられるシーサー。そのシーサーを活用した首里城復興プロジェクトが立ち上がっている。その名も「首里城福光シーサープロジェクト」だ。

 プロジェクトの発起人は、自らが「大開運シーサー」という縁起の良いシーサーを作る職人・宮城光男(みやぎみつお)さん。首里城及び首里城で使用されていた赤瓦と深い関りも持つ宮城さんは、首里城が焼失していく姿を眺めながら、このプロジェクトの発起を決意した。

「シーサープロジェクト」に込められた3つの想い

仕事中の宮城さん

 沖縄シーサー協会の代表でもある宮城さん。活動の一環として、首里城の焼失後すぐに立ち上げたのが「首里城福光シーサープロジェクト」だ。首里城の焼け残った赤瓦を有効活用し、高さ10mを超える巨大シーサーをみんなで制作しようというものである。

 このプロジェクトには3つの想いがある。

 ひとつは、沖縄シーサーの伝統に対する敬意である。沖縄でよく目にする、赤瓦屋根に取り付けられた漆喰シーサーは元来、家を建てる際に出る割れ瓦や余った漆喰から作られている。つまりシーサーは「ゴミから生まれた守り神」なのだ。「エコ」という概念がない時代からすでに、アップサイクル(単なる再利用ではなく元の製品より価値の高いものを生み出すこと)が行われていたこの歴史を、SDGsが推奨される時代にこそ継承するべきだと考えた。

 2つめは、火災を納める守り神としての役割だ。現存する最古のシーサー(富盛の石彫大獅子 1689年~ 八重瀬町)は、火除けが目的で設置されたものであることから、首里城福光シーサーも同様に、火災からの復興と再発防止を願うシンボルにしたいと考えた。

 そして3つめは、1992年の首里城復元の際、赤瓦を作った奥原 崇典(おくはら そうてん)さんへの敬意だ。宮城さんにとって奥原さんは師匠と呼べる存在。奥原さんは2014年に死去しているが、その赤瓦は特別な手法で作られており、同じ赤瓦は再現不可能とされている。その瓦をゴミ(産業廃棄物)にしてしまいたくないという想いがあった。

次ページ:

1

2 3

関連記事

おすすめ記事

  1.  サッカーJ3のFC琉球が、第2次金鍾成(キン・ジョンソン)監督体制下の初陣を白星で飾った…
  2. 今季から琉球ゴールデンキングスに加入したアレックス・カーク(左から2人目)やヴィック・ローら=16…
  3.  FC琉球の監督が、また代わった。  サッカーJ3で20チーム中18位に沈む琉球は1…
  4. 戦前に首里城正殿前に設置されていたバスケットボールゴールを再現した首里高校の生徒ら=8月27日、那…
  5.  8月12日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール市民交流室は熱気が渦巻いていた。ステー…

特集記事

  1. 再びFC琉球の指揮を執ることになり、トレーニング中に選手たちに指示を送る金鍾成監督=19日、東風平…
  2. ヴィック・ロー(中央)の入団会見で記念撮影に応じる琉球ゴールデンキングスの(左から)安永淳一GM、…
  3. 沖縄県庁  沖縄県は、地域の緊張を和らげようと、4月から「地域外交室」を設置し、照屋義実副知…
ページ上部へ戻る ページ下部へ移動 ホームへ戻る 前の記事へ 次の記事へ