「終わりが見えず、とにかく追われている」コロナ医療現場からの声

 

 この女性看護師はコロナになって急に医療従事者にスポットが当てられたことにも少し「違和感」を覚えたという。

「感謝を示してくれたりしたのはもちろんありがたかったです。けれど、私たちとしてはコロナだけではなく、常々現場で困難に向かってやってきているという思いがあります。だから、ああいう注目のされ方は何か少し不思議な感覚でもありました」

 ホテルや飲食店などで、医療従事者への特典やサービスが一時期打ち出されていたが、それを享受することすら難しい状況だった。「正直、とてもじゃないけどどこかに行ける状態ではありませんでした。だから、残念ながら利用はできませんでした」
 現在の状況が世界的なレベルでかなり特殊であるとはいえ、医療従事者が「人のために尽くす」という姿勢で医療現場に身を置き、様々な患者に向かい合っているのは、何もコロナ対応に限ったことではない。コロナ禍ではない“平時”でも、彼女たちは常にそうしてきたという現実について知ることは、アフターコロナのこれからの医療について改めて考えるきっかけになるのではないだろうか。

健康であることが1番の対策

 現在感染者数は低い数字で推移しているが、感染者数が全国的に多い地域として各メディアで報道されている。もちろんそれは事実ではあるが、一方で「10万人あたりの感染者数の多さに対して、死者数は少ない」と前出の看護師は指摘する。このことが示しているのは「沖縄の医療が充実しているということ、そして医療崩壊を起こさないようギリギリのところで現場が頑張っている」ということだ。

 重症化する感染者の年代は若くなって40代にも出てきており、糖尿病などの基礎疾患、肥満などの生活習慣病を抱える、健康面で問題がある男性に多い傾向にあるという。

1番の感染対策・予防は、健康であることです。マスクを付けたり、こまめに消毒をしたり、個人でできることは限られていますが、それを心掛けつつ、少しでも私たち医療従事者の負担を考えてくれて、できるだけ病気にならないように、良い人生を生きてくれることが感染対策につながると思います」

 第4波では若年層の感染者が増加した。感染経路が定かではないが、飲食の場で集まって感染したと思われるケースもあり、対応する側としては複雑な心境になることもあるという。「辛い患者に寄り添わなきゃいけないのは当然のことですけど、でも私たちも人間です。だから『私たちは我慢しているのにな』と思うこともあります」

 これまでとは違った日常に、フラストレーションを感じることは多々ある。もちろん時には息抜きも必要だろう。しかし、医療の最前線では常に自分を律しながら過酷な状況に向き合っている人たちがいるということを、ほんの少しでも考えて行動する人が1人でも増えれば、医療現場の負担が減ることにつながるはずだ。

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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