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【沖縄の一斉休校③】オンライン授業は沖縄の教育課題を埋める
- 2021/7/7
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全国で唯一、2度目の一斉休校を経験した沖縄。一斉休校は私たちの生活に一体何をもたらしたのでしょうか。沖縄の子供たち、保護者たちが乗り越えた“苦難”の2週間を振り返り、目指すべき道標を探ります。地理的制約や多くの教育課題を抱える沖縄こそ、オンライン授業がより強く求められています。
大阪市のチャレンジ
重厚に築き上げられた「学習指導要領」の下で、責任ある学校・先生たちが自由に、大胆にオンライン授業に踏み切るのもなかなか難しい現実。では、積極的にオンライン学習を導入していくことはもはや諦めるべきなのでしょうか。
もちろん、そんなことはありません。400を超える小中学校を擁する大都市・大阪市のオンライン授業への挑戦をみなさんはご存じでしょうか。
大阪は東京と並んで厳しい感染状況が続いていて、直近では4月25日から6月20日までの約2か月間緊急事態宣言が発令されていました。
発端は4月19日、大阪市の松井市長が突然、緊急事態宣言が発令された場合に小中学校は原則オンライン授業とする方針を表明し、いわばトップダウンで強力に進めようと試みたところから始まります。3月までにすべての小中学校に端末が配布され終えたことを念頭においての大号令でした。具体的には、午前中に自宅でオンライン授業を実施した後に登校し、最低限の対面指導や健康観察を行い、給食を食べたら下校という形で、宣言発令直後の4月26日から早速実施されました。
失敗から得た貴重なノウハウ
実際はどうだったか―。
初めての試みで上手くいかないことも多く、回線がパンクし接続テストの段階から通信の不具合が頻発、使い方に関する保護者からの問合せ対応で先生の業務量も増加、給食のために結局登校するやり方にも批判が集中。現職校長から市長あて要請文が出される騒ぎまで起こり、非難轟々、大混乱のまま、これが5月24日に通常授業に戻るまで約1か月続きました。
「市長の思いつきで現場を大混乱させた!」という批判が大半でしたが、回線パンク回避のため地域ごとに通信時間の割当方式や重要な学校・保護者間の連携の方法、そして何より子供・保護者・先生が実際に同時双方向通信を何度も体感し工夫し続けた成果は、他の地域にはない貴重なノウハウとなったに違いありません。
文部科学省の厚い壁
大阪市のオンライン授業へのチャレンジ。スタート時から非難の嵐でしたが、大きな問題がもう一つありました。それは、オンライン授業が、文部科学省の規定する「授業時数」にカウントされないため、不足する時間分は、通常授業再開後に補講を実施する必要があり、その結果夏休みを大幅に短縮しなければならないということでした。