「終わりが見えず、とにかく追われている」コロナ医療現場からの声

 

 新型コロナウイルス感染が続くなか県内医療現場の逼迫状況に終わりが見えない。「爆発的に増えた時の感染者の中で重症化する人たちが今のタイミングで出ていて、発表される感染者数が減っていても実は病院はめちゃくちゃ大変です」と語るのは、本島南部の医療機関に勤務する女性看護師だ。現在感染が広がっている変異株のウイルスは重症化に2~3週間のタイムラグがあるという。

「ドッと増えた時は意外にも少しは余裕がありました。でも重症化の患者が増えてからは7~8人を次々と送患して、あっという間に1日が終わってしまうのを繰り返しています」

時間と人と手間がかかる

 新型コロナウイルスの新規感染者数は100人を切る数字で推移している。ゴールデンウィーク明け、一時は300人を突破した時期もあったが、県内全域での緊急事態宣言の延長やそれに伴う酒類提供店への休業要請、さらには学校の休校などの措置に踏み切ったこともあってか、数字を見ると感染者数は減少傾向。ワクチン接種も大規模接種会場が設置されたり、各市町村で高齢者向けの接種が始まったりしている。
 しかし、医療現場は昨年のコロナ禍突入から現在まで、ほとんどノンストップで“非常事態”の真っ只中にある。

終わりが見えずに、とにかく追われてる感じです。コロナだけでなくそれ以外の患者の対応にも当然人手もは必要ですが、決められた人数で配置を考えてやりくりするしかない」

 コロナ患者への対応は「とにかく時間と人と手間がかかる」。通常業務時にもただでさえ忙しい医療現場に、来院者の発熱による選別やICUへの重症者移送などの作業がプラスされ、さらに院内感染を防ぐための各所の細かい消毒や掃除もこなさなければならない。

 コロナ禍に突入した約1年前は「先も見えないし分からない状況で、かなりストレスを感じていました」と語る。昨年の夏場はエアコンも無い中で防護服を着用し、汗だくで必死に対応に臨まねばならない過酷な場面もあった。
 第2波や第3波、それに伴う変異株の広がり、行政対応による社会状況の流動的な動きなど「どんどん環境や局面が変わっていくことに対してこちらも合わせて適応してかなければならないのもとても大変です」と話す。

最期に会えない家族の辛さ

 そうした中でも、とりわけ辛いのは亡くなる人たちのケアだという。これまでであれば、入院している患者とのやりとりを通じて、その人がどんな性格の人で、家族が何人いて、よく見舞いに来る人はどんな人なのかなど、信頼関係を築きながら知ることができた。しかし、コロナ感染者には面会制限がある。入院患者の家族の顔を、最期の時に初めて見る場合に無力感を覚えるという。

「ああ、私は看護師として何をしているんだろう、何ができるんだろう、って思いました。コロナでなければさすってあげることもできたのに、大事な家族が来て看取ることもできたのに。亡くなった後にコロナと分かって、最期の最期に会えないというケースや、自宅待機中に容体が急変して突如亡くなってしまい、会えず終いということもあります」

 そうした場面で「あっけらかん(呆然)とする家族」を目にする度に、非常に悔しくて残念な思いを噛み締めてきた。「もう2年目にもなるので、面会については何かもっと踏み込んだ措置をしていきたいと考えています。特に最期に看取るような場面では、患者さんとそのご家族が、手袋越しでもいいから触れられて、ちゃんと会えるようにしたい

「ストレス発散の場所がない」

 医療従事者には使命感を持って働く人が多い。それゆえ、コロナに対してかなりの恐怖を抱えながらも日々の業務に取り組む人や、家族のために長期間の自主隔離をしている人もいる。加えて、同僚同士での飲み会や集まって話をする楽しみもずっと我慢しており、愚痴を言い合って溜まったものを放出するような“吐き出す場所”が無くなっている状態だ。

「ストレスを発散する場所や機会も極端に減りました。そうなるとイライラやモヤモヤの感情が同僚に向くこともあります。職員同士での言い合いも増えましたね。そんな時は言いたいことを言える環境づくりをするように努めています」

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