【戦後76年 慰霊の日】「舞台と一緒に生きる」演劇で伝える沖縄戦

 
「洞窟」の舞台写真のスライドショー

 また、この作品には慰霊の日に平和祈念公園で行われる全沖縄戦没者追悼式で朗読される平和の詩が劇中に組み込まれているのも特徴の1つだ。音楽を担当するユニット「しゃかり」のボーカル・チアキさんが、平和の詩にメロディをつけて歌うシーンもある。

 ありがとう
 あなたがあの時
 前を見続けてくれたおかげで
 この島は今、ここにある

 あなたがあの時
 私を見つめたまっすぐな視線
 未来に向けた穏やかな横顔を
 私は忘れない
 平和を求める仲間として

 (首里高校・高良朱香音さん作『あなたがあの時』より)

「子どもたちがこうした言葉を紡ぎ出していることに、島を思う気持ちが受け継がれていると感じます。そして、彼女たちのように受け止める子たちがいるからこそ、島の未来と希望があるんです」と大城さん。
 歴史を繰り返さないために悲惨で残酷な現実を伝えることも確かに重要だが、より大切なのは「若い世代が前を向いて歩いてくれるように、関心を持ってもらうきっかけを作っていくこと」だと強調した。

公演「洞窟(ガマ)」のワンシーン(エーシーオー沖縄提供)

「慰霊の日は、沖縄がこれまで様々な犠牲を乗り越えてきて今があるということを、原点に立ち返って考える大切な日です。平和への思いとその心を、表現を通して発信し続けていかなければならないんです」と思いを語る下山さん。口調は穏やかだが、声には強い責任感が宿る。

「今は特に、戦争からどんどん離れてしまわざるを得ない若い人たちに伝えていきたい」と話し、観劇を呼び掛けた。

 「島口説」の公演日程やチケットなどの情報はエーシーオー沖縄のWEBサイトに掲載されている。また、昨年上演した「洞窟」の公演映像を申し込み制で無料で配信している。こちらは今月30日まで。

エーシーオー沖縄のWEBサイト

「島口説」の公演情報

「洞窟(ガマ)」映像配信申し込みフォーム

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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