阿麻和利がアムロの声で喋る! アニメで歴史の多面性とロマンに触れる
- 2022/4/12
- エンタメ・スポーツ
うるま市にある「あまわりパーク歴史文化施設」で、琉球王朝時代に10代目の按司(城主)だった阿麻和利を題材にしたショートアニメーション作品『勝連おもろそうし』が上映されている。
アニメの目玉は『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイや『巨人の星』の星飛雄馬で知られる声優・古谷徹さんの起用だ。沖縄をテーマとしたアニメ作品でこれだけの“ビッグネーム”がキャラクターの声を担当するのは珍しく、作品の説得力と完成度を大きく高めている。
さらに、沖縄出身の人気声優・下地紫野さんや、地元うるま市出身の声優も起用されており、地域の独自色も打ち出した作品に仕上がった。
考証された勝連と阿麻和利の表現
アニメ作品は阿麻和利にまつわる歴史物語を分かりやすく紹介する内容で、阿麻和利の人柄を中心に描く「阿麻和利編」(8分21秒)と、阿麻和利の妻となった百度踏揚についての「百度踏揚編」(8分16秒)との2本が上映されている。
古谷さんは精悍な阿麻和利のほか、歴史の語り手の役割を果たす精霊「ひぬかん」の2役を演じる。また、下地さんも物語の中心人物となる少年と少女の2役を演じており、人気声優による演じ分けにも注目だ。
また、時代考証で琉球史研究家の上里隆史さんが参加しており、当時の勝連の様子の再現や語り継がれてきた阿麻和利の物語を今現在どのように捉えるかについて、多面的な歴史の見方が示されているのも特徴の1つ。
作中でも触れられるが、阿麻和利は琉球王国の歴史書では首里王府に歯向かった“悪人”として登場する一方で、琉球最古の歌謡集『おもろそうし』では優れた君主として讃えられている。
劇中で悪者か名君かで言い争う登場人物たちに対し、阿麻和利の“素顔”を知るという語り部のひぬかんは阿麻和利が「熱いヤツ」だった、とは言うもののどちらが歴史的事実なのかははっきり示さず「お前らが決めればいいんじゃね?」と言い放つ。
一方的な見方に囚われる登場人物たちに対し、想像とロマンの余白を示して歴史の見方に多面性を持たせる語り口が印象的だ。
多くの地元出身者が制作に携わる
さらに、シンガーソングライターのイクマあきらさんが声優に初挑戦したほか、テーマ曲にも沖縄出身のアーティスト・サリーケイさんの楽曲を採用し、ポスター制作には県立具志川商業高校ビジネスマルチメディア科の生徒が携わる。
上映はそれぞれ平日6回、土日祝日は5回でスケジュールが組まれており、入場料を支払えば施設内のライブシアターで鑑賞することができる。
映像コンテンツは『勝連おもろそうし』の他にも、勝連のイメージ映像に合わせてナレーションで阿麻和利を紹介する『グスク語り』と琉球王国と勝連の繁栄について歴史的背景を説明する映像も上映している。
映像のほか、常設展示では文化財や写真なども並んでおり、阿麻和利と勝連を巡る歴史や背景に加えて、琉球王朝の歴史や「琉球王国のグスク及び関連遺産群」についても学べる。
あまわりパーク歴史文化施設への入場料金は大人(高校生以上)600円、小人(中学生以下)400円。開館時間は午前9時~午後6時で年中無休となっている。
■関連リンク
☆あまわりパーク歴史文化施設 WEBサイト
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