FC琉球、5試合ぶり白星で連敗ストップ!ホームで北九州に2ー0

 
前半38分、ヘディングシュートで先制点を決め、喜びを爆発させる柳貴博=4月15日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム

 サッカーJ3のFC琉球は4月15日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで今季第7戦を行い、16位のギラヴァンツ北九州に2ー0で勝利した。5試合ぶりの白星で連敗を3で止め、3勝3敗1分となって勝ち点は10。順位を13位から暫定7位に上げた。

開幕戦以来の“クリーンシート”

 強い雨がピッチに降りしきる中、琉球は序盤から攻勢を強めた。元日本代表FWの金崎夢生が前線で体を張ったり、右サイドのDF柳貴博や左サイドのDF高安孝幸が積極的に前線に駆け上がったりと、何度もゴールに迫った。

 ゴールの“匂い”が徐々に強まる中、前半38分にMF平松昇からの右コーナーキックに反応した柳がニアに飛び込んだ。頭で合わせた鋭いシュートは相手GKの右上を抜き、ゴール左隅に突き刺さった。直近5試合はいずれも先制点を奪われて難しい戦いを強いられていたため、この1点がチームを強く鼓舞する。

 後半は推進力を増した北九州に押し込まれ、何度もクロスを上げられるが、その度に頭で跳ね返し、ボールがこぼれても必死でボールに喰らい付いてペナルティエリア内から外にかき出していく。すると後半32分、FW清武功暉との交代でピッチに入ったばかりのFW阿部拓馬がミドルシュートを放ち、GKが弾いたところを自ら押し込んで追加点を奪取。大きく勝利を手繰り寄せた。

 結果、琉球は最後まで失点無し。クリーンシート(無失点)は開幕戦以来となった。

先制点の柳「ニアが空いてるのは分かっていた」

柳が先制点を決め、笑顔で駆け寄るFC琉球の選手たち

 今シーズン加入したばかりの柳にとっては、嬉しい移籍後初得点となった。身長185cmの高さを生かしたゴールシーンについては「前半はコーナーが何本もあった中で、ニアが空いてる、自分のマークを外せるということも分かっていました。昇がいいボールをくれて、いい当て感で決められました」と振り返った。コーナーでニアに飛び込む形については、金崎とペアを組み、練習中から連係の精度を磨いていたという。

 無得点で勝利をつかみ、ディフェンスラインの一人として「後半は特に攻められる局面が多かったですが、みんなが体を張って、最後までゴールを割らせなかったということは、最近の試合の中でも一番良かった点だと感じています」と好感触を示した。

 自身は昨年8月に酒気帯び運転をし、期限付き移籍で所属していたアビスパ福岡から契約を解除される事案を起こした。そのため、今季は一人のサッカー選手、一人の社会人として再起を図る重要なシーズンに位置付けている。

 苦しい状況のチームを救う殊勲の活躍を見せたが、「結果を出せたことは良かったですけど、もっともっと勝ちに貢献していかないといけないです。サッカー面でも、サッカー外でも、沖縄だったりのために、いろんなことをしていきたいです」と気を引き締めた。

「自主的に考えた結果」の快勝

ゴール前で粘り強いディフェンスを見せるFC琉球の選手たち

 3連敗となった今月8日の前節後の会見で、球際での強さやボールへの執着心など「相手と戦う」というサッカーの“原点”を強調していた倉貫一毅監督。試合の総括を求められると、少しほっとしたような表情を浮かべ、こう語った。

 「今週、選手たちは非常に意欲的に練習に取り組んでくれたので、感謝しています。前半は風上という状況で『躍動感を出してほしい』と選手に話をして送り出しました。前に出ていく意識、自分たちのサッカーをやろうとする意識は非常に見えました。その中で先制点を取れたというところも良かったと思います」

 今シーズンJ3に降格し、「1年でのJ2昇格」を掲げる中、前節まではその目標に縛られて思い切ったプレーができていなかったことにも言及した。それを念頭に「概念が少しすり替わっていたところが多々ありました。『監督が言ってるから』とか、『1年で昇格しないといけないから』とか。でも、本当は自分たちが勝ちたい、優勝したいというところがスタート。そこに皆さんの期待がくっついてくるという話をした中で、選手たちが自主的に『自分たちはどうしたいんだ』ということを考え、前に進んでくれた結果が、こういう形になったと思っています」と振り返った。


長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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