沖縄県の玉城知事、7月訪中を検討
- 2023/4/15
- 政治
沖縄県の玉城デニー知事が、7月に訪中を計画していることが分かった。玉城知事が14日、定例会見で明らかにした。中国との貿易を促進する日本国際貿易促進協会(会長・河野洋平元衆議院議長)が7月3~6日の日程で計画している北京訪問への参加を検討しているが、単独で訪中する可能性もあるという。
県は、今年度から「地域外交室」を県庁内に設置。観光や経済、文化などの交流を通して、アジア・太平洋地域の平和構築に寄与する意向を示している。照屋義実副知事は、3月30日、東京に新任の中国大使、呉江浩氏を訪問した。
一方、台湾周辺では、蔡英文総統が米国でマッカーシー下院議長らと会談したことに反発した中国が4月8日から3日間にわたり軍事演習を実施するなど、軍事的緊張が高まった。尖閣諸島周辺の領海に対する中国公船の侵入も続いている。
また、日本政府は3月に陸上自衛隊の石垣駐屯地を開設。沖縄方面の防衛を強化する中で、視察中の第8師団長ら10人を乗せたヘリコプターが宮古島周辺で消息を絶つ事故が発生した。
訪中で経済や文化交流を要請へ
14日の会見では、記者団から「訪中の際には、どのような要望を行っていくのか」との質問も出た。
これに対し、玉城知事は「尖閣諸島については、日本政府がわが国の立場を繰り返し表明するとともに、日中両国の政府においても協議が行われていると承知している。県としては、尖閣諸島や台湾海峡をめぐる問題がエスカレートし、不測の事態が生じることは決してあってはならないと考えている」と述べた。
その上で、「コロナ後初めての訪中なので、沖縄県からの提案内容については、主に、経済復興を見据えた経済や文化交流の再開と発展などを念頭に内容を詰めていきたい」と語った。
また、地域外交の戦略について問われると、「沖縄としては、アジア全体の『平和の緩衝地帯』にしたい。今回の訪中では、県は北京、ソウル、台北、上海にも事務所を置いているので、そのような事務所もさらに連携して活用していくために、観光・経済、文化交流といった友好的な関係を構築していくためのさまざまな基盤を固めていきたい」と語った。
さらに、「それによって、地域の緊張緩和や信頼醸成の構築に貢献していきたい。それが沖縄県としての役割であり、アジア全体の平和的な構築にもつなげていきたい」と述べた。
「地域外交の考え方は日米政府に伝えてきた」
このほか、記者団からは「地域外交の考え方を日米政府と話し合ったり、説明したりする予定はあるか」との質問もなされ、玉城知事は「この考えは、これまでも日米両政府には、ずっと伝えてきている内容だ」と応じた。
経済安全保障については「沖縄21世紀ビジョンとアジア経済戦略構想などによる、アジアのダイナミズムを取り込み、域内経済に循環させていくという従来の方針は、これからもさらに推進していく方向。より一層、進化していきたい」と語った。
(記事・写真 宮古毎日新聞)