玉城知事訪中時に尖閣問題の要望求める決議、困難に 県議会で反対・慎重論多数

 
玉城知事訪中時に尖閣問題の要望を行うよう求める決議について協議する各派代表者会議=2日、沖縄県議会棟

 沖縄県議会は2日、各派代表者会議を開き、玉城デニー知事が予定している訪中時に、尖閣諸島問題について要望するよう求める決議を行うかについて議論した。自民党会派は決議を求めたが、ほかのすべての会派は慎重・反対意見でまとまらず、決議は困難となった。

 玉城知事は、7月にも訪中する意向を明らかにしている。中国とのビジネスを促進する日本国際貿易促進協会(会長・河野洋平元衆議院議長)が計画している北京訪問への参加を検討しているが、単独で訪中する可能性もある。

 2日の会議では、県政野党で自民党の島袋大県議が「知事が訪中するに当たり、(尖閣問題についても)話ができるような体制を取るべきではないか」と述べて、各会派に賛同を求めた。

  これに対し、県政与党の各会派からは「二元代表制の一方の知事に、『議会の意思を持って行け』というのは、やるべきではない」との意見や「訪中時に知事がどう発言をするかは、知事自身が決めるべきこと」との声が上がった。

  また、公明党会派は、これまで県議会が尖閣問題について全会一致で決議してきたことを踏まえ、「われわれの意思は表明している。知事が、どう交流するのかは注目したい」としながらも「議会の意思を持っていけというのは少し無理があると思う」とした。

  会議後、島袋県議は本紙の取材に対し「宮古・石垣から要望が来ている。地域外交で、安全保障のことについても話すべきではないか。これまで、県議会でも尖閣問題で全会一致の決議をしている。そこは、(訪中時に)言うべきではないか。県議会のバックアップがなければ言えないのではないか」と語った。

知事「経済や文化交流の再開と発展など念頭」

7月に訪中を計画していることを明らかにする玉城知事=4月14日、沖縄県庁

 県は今年度から地域外交室を県庁内に設置。それに先立ち、3月30日には照屋義実副知事が東京に新任の中国大使である呉江浩氏を訪問した。

 玉城知事は4月14日の会見で、記者団から訪中時に尖閣問題について要望するかを問われた際、「尖閣諸島については、日本政府がわが国の立場を繰り返し表明するとともに、日中両国の政府においても協議が行われていると承知している」と指摘した。

 その上で、「(日本国際貿易促進協会の)訪中団に参加する場合は、コロナ後初めての訪中なので、沖縄県からの提案内容については、主に、経済復興を見据えた経済や文化交流の再開と発展などを念頭に内容を詰めていきたい」と述べるにとどめている。

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