「政令市」って何?那覇市議会での提唱から
- 2021/2/23
- 政治
2月9日に開会した那覇市議会2月定例会の一般質問1日目(2月18日)で、上里直司市議(会派・なは立志会)が「本市の求心力を力強く昇華させるためにも、中核市から政令市への移行を提起する」としました。政令市とは何なのでしょうか。移行することでどのようなメリットがあるのでしょうか。まとめてみました。
政令市とは
正式には政令指定都市といいます。人口が50万人を上回る市のうち、内閣が制定する「政令」によって定められます。政令市になると、都道府県が担っていた行政事務のほとんどを独自に扱うことができ、都道府県とほぼ同格の権限が与えられるため、市独自の決定権が広がります。
ただ、那覇市が政令市になったとしても沖縄県の内部にあることには変わりないため、一部はある程度の行政上の住み分けがなされます。例えば、都道府県は病院の開設許可をするのに対し、政令市は診療所の開設許可ができます。また、都道府県は警察組織を持つことができますが、政令市はそれができません。
都道府県と政令市は同格であるとの実情から、これによって「二重行政」が問題になることもしばしばあります。近年で分かりやすい例は大阪都構想を巡る問題です。大阪府と、政令市である大阪市の行政上の権限や仕事が重なり、税金の無駄や手続きの非効率を生んできたと大きな議論になりました。
現在、那覇市は「中核市」に位置付けられます。沖縄県から保健分野や福祉分野など、限定的に行政事務が移譲されています。
全国の政令市
2021年2月時点で、日本全国には政令市が20都市あります。一番新しく仲間入りしたのは2012年4月の熊本市(約74万人)です。政令市の中で一番人口の少ない都市は静岡市の約69万人です。
これらの政令市には「行政区」が設置されます。大阪市大正区や名古屋市名東区といったものがそうです。しかし、東京23区のような、区長選挙があって区議会があって区立学校や区立図書館があって、という「特別区」とは別のものです。
政令市になるための手続きは、通例として、まず、市議会で政令市に関する意見書を議決し、さらに知事や県議会へ実現に向けた要望書を提出する、などの手続きがあります。ですので、政令市を目指す第一歩としては、市議会として同じ方向を向く、ということが挙げられます。
少ない人口、高い人口密度
那覇市の政令市移行の実現可能性はどれほどのものなのでしょうか。那覇市の人口密度は約8000人/㎢と非常に高く、これは今ある政令市の中でも、大阪、川崎、横浜の各市に次いで4位となっています。ただ、全県庁所在地のうち面積自体が一番小さいため、人口は約32万人で、要件となる50万人には約18万人も足りないことになります。
現状では那覇市単独としての実現はまだまだ厳しそうですが、将来的な構想として注目されそうです。