「発展」ではなく「持続可能」な社会を 次期沖縄振興計画にツッコむ

 

全ての人に関係する「人権」の視点

 提案プロジェクトの話し合いでは、人権についての言及が不足していることも大きな問題点の1つとして話題に上った。

 目標にも掲げられ、玉城デニー知事も度々口にする「誰一人取り残さない」というフレーズは、世界人権宣言や日本国憲法にもある「基本的人権の尊重」にもつながる。そのことを踏まえて骨子案をみると、人権の保障についての文言が少ない上に、対象が限定的だという。

「LGBTや貧困、障がい、ルーツなどの多様性を巡る問題に関して、現在の骨子案には『マイノリティだから助ける』というニュアンスがあります。でも、これまで社会的弱者の問題として捉えられてきたものは、誰にでも当てはまるもので、誰でもマイノリティになりうることを忘れてはいけません。
 人権を社会的弱者にだけ適用するのではなく、全ての人1人1人に関係するものという見方を反映させることで、沖縄21世紀ビジョンが実現した時に全ての県民がその恩恵を受けられることにつながります。
 なので、先ずは保障の水準の最低ラインを上げること。そこからがそれぞれの権利の保障について、本当のスタートになると思うんです」

プロジェクトの部会の一部。各分野の議論の要点が読めるので、参考にしながらパブコメを出せる(沖縄未来提案プロジェクトのWEBサイトより)

興味があるところからパブコメを出そう

 沖縄未来提案プロジェクトは貧困対策、交通、環境、歴史・地域教育など約20の部会で、それぞれの関係者と県民を中心に有志50人以上が関わって議論を重ねている。WEBサイトでは各部会の議論の要点が読めるほか、パブリックコメントに使える資料のダウンロードもできる。

 プロジェクトでは県の応募の期限となる2月28日にパブリックコメントをまとめて提出し、3月中に提言書をまとめて提出する予定だ。

 石垣さんは「プロジェクトでの取り組みをきっかけにパブコメを出そうという人が少しでも増えたらうれしい。県民全ての未来に関わることなので、多くの人に興味を持ってもらいたい」と語った。

◆沖縄未来提案プロジェクトのWEBサイト / Twitterはコチラ

次ページ:
1 2

3


真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

この著者の最新の記事

関連記事

おすすめ記事

  1.  サッカーJ3のFC琉球が、第2次金鍾成(キン・ジョンソン)監督体制下の初陣を白星で飾った…
  2. 今季から琉球ゴールデンキングスに加入したアレックス・カーク(左から2人目)やヴィック・ローら=16…
  3.  FC琉球の監督が、また代わった。  サッカーJ3で20チーム中18位に沈む琉球は1…
  4. 戦前に首里城正殿前に設置されていたバスケットボールゴールを再現した首里高校の生徒ら=8月27日、那…
  5.  8月12日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール市民交流室は熱気が渦巻いていた。ステー…
宮古毎日新聞

特集記事

  1. 再びFC琉球の指揮を執ることになり、トレーニング中に選手たちに指示を送る金鍾成監督=19日、東風平…
  2. ヴィック・ロー(中央)の入団会見で記念撮影に応じる琉球ゴールデンキングスの(左から)安永淳一GM、…
  3. 沖縄県庁  沖縄県は、地域の緊張を和らげようと、4月から「地域外交室」を設置し、照屋義実副知…
ページ上部へ戻る ページ下部へ移動 ホームへ戻る 前の記事へ 次の記事へ