沖縄で月に30万円稼ぐスキル 鍵を握るのはSNS活用

 

女性がキャリアアップできない環境

 園田さんは12年前までITベンチャー企業に勤めていたが、リーマンショックの影響で会社が倒産。その後就職活動をした際、子育てをする女性の1人として様々な不平等さに直面した。

 ハローワークでの求人内容と実際の業務内容との間に大きなギャップがあることや、勤続期間に応じた昇給がないことなどに加え、時間帯の融通がきかないこともままあった。当時で主に女性の働き口だと給与ベースが正社員で12万円前後。手取りを時給換算するとおよそ600円程度だった。
 その上、子どもの迎えのため早めの時間帯で勤務していたのに「親族に迎えさせたらもっと働けるさ」という言い方で勤務時間を延長させられそうになったこともあった。「総合的に見て男女間の不平等さが目立ち、女性がキャリアアップできない環境。おそらく今もそんなに大きくは変わっていないのではないか」

 「沖縄の女性の収入を上げる」ということも大きな目標の1つになった。

未来のために私たちが変わる

 園田さんは起業を決意。働きながら大学に通った後、前職で培ったITの知識を生かしてWEBマーケティングをサポートする事業を始めた。
 現在BSAではオンラインサロンでSNSそのものの知識を始め、SNSでの集客から収益化までの過程や販路拡大を含めたマーケティングについての動画講座のほか、対面でのトークスキルやライティングなどのプログラムを提供する。例えば、個人で起業した場合だと具体的なラインとして想定するのは「沖縄で30万円を稼ぐためのスキル」だ。

SNSの活用などについて説明するBSAの動画(キャプチャー画像)

「全国的にみても沖縄は低賃金で、労働に見合った対価を受け取れていない」と現状を憂う。
 個人でも企業でも、コミュニケーション・ツールとしてSNSを上手く使うことができれば、収入増や利益増につながる上にビジネスの可能性も多方面に広がる。さらにその母数が増えていけば、ひいては「沖縄経済のボトムアップの道も見えてくる」と語る。

 「私たちが変わらないと、未来が変わらない」と語る園田さん。戦後沖縄を築いてきた世代へのリスペクトも持ちつつ、社会変化が急速度になった現代の感覚で経済のあり方を見極めていく重要性も強調する。

「遅れている現状は逆に言えば、未着手な部分に適切な形で手をつけていけば、ちゃんと沖縄の未来を築けるということだと思う。コロナで厳しい時期でもあるが、それをある意味“良いきっかけ”にして、沖縄が前に進んでいく手助けをしていきたい」

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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