謎のアーティスト・バンクシーの作品を沖縄で初展示 10月10日まで

 
「投げる人」

 棘のあるユーモアと社会的・政治的メッセージを込めた作品を、ストリートを中心に世界中でゲリラ的なスタイルで発表するイギリス出身の覆面アーティスト「バンクシー(BANKSY)」の展覧会「バンクシー&ストリートアーティスト展」が浦添市美術館で始まっている。会期は10月10日まで。バンクシー作品の沖縄での展覧会は初となる。会場にはバンクシーの作品に加えて、各地で活躍する様々なストリート・アーティストによる作品も合わせて約100点が並ぶ。

 1990年代初めにグラフィティ活動(デザインされた自身の名前をスプレーなどの塗料でストリートに描く行為)を始めたバンクシーは、“覆面アーティスト”と呼ばれている通り、その正体が誰なのかということは明らかにされていない。

 ここ最近でバンクシーが一気に知名度を上げたのは2018年10月、ロンドンで行われたオークションで起こったとある事件が1つのきっかけだろう。競売にかけられていたバンクシーの絵画作品「風船と少女」が落札価格約1億5,000万円に決まった瞬間、額縁の中に仕掛けられていたシュレッダーによって裁断された。この出来事は世界中で大々的に報道されることになり、日本でも各局のニュース番組やワイドショーでも取り上げられていた。

東京都港区日の出駅近くの防潮堤に描かれていたバンクシーの(ものとされる)ネズミ。描かれたのは2003年頃とされている(※今回の展示にはありません)

 さらにその後、2019年1月に小池百合子東京都知事が「あのバンクシーの作品かもしれないカワイイねずみの絵が都内にありました!東京への贈り物かも?」とツイートしたことが話題になり、日本でのバンクシーの知名度はさらに急上昇することになった。

「風船と少女」

 展覧会には、シュレッダー事件の時に裁断されてしまった「風船と少女」と同様の絵画のプリントも並んでいる。この作品は定期的に制作されているバンクシーの代表作でもあり、2017年には「イギリス人が好きな芸術作品」ランキングで堂々の1位を飾った。

 ちなみにバンクシー作品の代表的な手法は「ステンシル」と言われるもので、段ボールなどの厚紙を切り抜いて作った紙型を壁面にあてて、その上からスプレーで塗料を吹きかけて絵を完成させる。

 「風船と少女」に並ぶバンクシーの代表作で、イスラエル軍の軍事的な攻撃に投石で対抗したインティファーダ(抗議運動)がモチーフになっている「投げる人」(本記事冒頭写真)も、印象的な配置で額装されている。さらに、バンクシー作品によく登場し、アイコン的な役割を果たしているネズミを描いた作品もバリエーション違いで並んでいるほか、イギリスのミュージシャンのアートワークなども多数ディスプレイされており、代表的な作品を生で観ることが出来る貴重な機会だ。

バンクシー以外にも多様なスタイルのストリート・アートが並ぶ

 また、バンクシー以外のアーティストの展示は、ストリート・アートやグラフィティの歴史を意識してキュレーションされている。60年代終わりにニューヨークのサウス・ブロンクスで、アフリカ系やラテン系の若者たちの間で始まったこのカルチャーの原点は、公共物にスプレーなどでペイントをする文字通りの「落書き」で、違法性を伴うもでもある。

 こうした出自を持つアートを美術館で観るという行為自体に、ある種の矛盾や違和感があるかもしれないが、その感覚もひっくるめて「アートとは何か」を考える契機になるかもしれない。

 浦添市美術館の開館時間は9時半~17時(金曜は19時)で、最終入場は閉館30分前まで。9月26日、10月3日が休館。チケットは平日が一般1,800円、大学・専門・高校生1,500円、中・小学生1,100円。土日祝日は一般2,000円、大学・専門・高校生1,800円、中・小学生1,200円となっている。

■関連リンク
☆BANKSY & STREET ARTISTS バンクシー&ストリートアーティスト展(沖縄テレビWEBサイト内)

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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