沖縄県知事選告示 下地氏、佐喜眞氏、玉城氏が各地で訴え 経済再生や辺野古移設争点

 

玉城氏 3回目の辺野古反対の民意を

支持者とグータッチする玉城氏

 玉城氏は出身地である旧与那城町(現うるま市)屋慶名で第一声を発し、名護市辺野古や本島中部市町村を経由して南下。午後6時から県民広場でメーンの出発式を行った。イメージカラーの緑のハチマキを巻き、のぼりを手にした支持者と共に再選を誓った。

 マイクの前に立った玉城氏は、1期目の任期中に首里城の焼失や豚熱の感染拡大、コロナ禍など様々な課題に向き合いながら、4年前に掲げた291項目の公約のうち287項目で取り組みを進めていることを報告。午前中にはうるま市の勝連城跡に登って手を合わせ、「これからも世のため、人のために仕事をさせてくださいとお願いをしてきました」と語り、再選へ意欲を見せた。

ガンバロー三唱で拳を突き上げる玉城氏(左から2人目)ら

 故・翁長雄志前知事から受け継いだ子どもの貧困対策を最重要政策に位置付け、子どもの貧困対策推進基金を翁長県政の頃に比べて倍となる60億円に積み増したことに触れ「10年間で必ず子どもの貧困問題を終わらせるという決意で取り組みを進めています」と強調した。

 基地問題については「平和だからこその暮らし、平和だからこその経済です。平和とは何の心配もなく暮らし、普通に眠れる環境が守られていることです」と切り出し、「普天間や嘉手納の現状は決してそうではない」と米軍基地から派生する騒音や事件、事故を批判。その上で、自身を支援する「オール沖縄」勢力が反対を掲げる辺野古移設についても「新基地建設は軟弱地盤の存在で絶対に完成することはできない。翁長前知事、私が勝利し、今回が3回目。また民意を堂々と突き付けてやりましょう。子や孫の将来のため、誰1人取り残すことのない、新時代沖縄のさらに先への希望を実現させるため、一緒に頑張っていきましょう」と拳を握り、力強く訴えた。

激励の挨拶をする赤嶺政賢衆議院議員(左)

 激励でマイクを握った共産党の赤嶺政賢衆議院議員は「戦後、沖縄県民は長い間基地の犠牲になり、人権も奪われてきました。その県民が辺野古に基地をつくるなと言うのは当然の主張ではありませんか。普天間飛行場は閉鎖、返還、辺野古新基地もつくらせない。沖縄県民の力でデニーさんを勝利させていきましょう」と呼び掛けた。

 その他、城間幹子那覇市長や連合沖縄の東盛政行会長らも挨拶を述べ、激励した。最後は支持者と共にガンバロー三唱で気勢を上げ、必勝を誓った。

下地氏の票数、他選挙との連動に注目

 今回の県知事選では、主要な政党、団体からの支援を受けている佐喜眞氏と玉城氏が激しく競り合うとの公算が強い一方で、衆議院議員や大臣を歴任してきた下地氏の票数は注目点の一つだ。

 下地氏は保守地盤の地元・宮古島市や一部企業票などを集めると見られ、佐喜眞氏との「保守分裂」という見方もある。一方で、辺野古移設については埋め立て工事を止めるという部分においては下地氏と玉城氏の主張に共通点があるため、移設反対を望む層の票が一部割れる可能性もありそうだ。米軍基地に由来する騒音や事件、事故は依然として後を絶たないが、台湾周辺で中国が軍事演習を活発化させている現状もある中、有権者の判断が注目される。

 また、投開票日には4市町村の首長選と24市町村の議員選挙に加え、那覇市長選(10月23日投開票)に翁長雄治前県議が出馬を決めて県議を辞職したことに伴い、県議会議員補欠選挙も9月11日に行われることになり、多くの選挙が乱立する事態となっている。各自治体、県議補選の候補とも自身の選挙戦に多くの時間を割かれるため、下地氏、佐喜眞氏、玉城氏とも、連携する議員とのセット戦術でいかに効率良く支持や政策を訴えていけるかも集票の鍵を握る。

 10月には豊見城市長選(10月9日投開票)と県都の那覇市長選も控える。保守陣営、オール沖縄勢力とも、いずれの選挙も候補者を既に決定しているため、県知事選の勝利で勢いを付けたいとの考えだ。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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