【沖縄県知事選】「国と“決別”して新しい沖縄を」下地幹郎氏インタビュー

 

自主財源と県債で教育費無償化

 ―保育園から大学・専門学校までの授業料、給食費、朝食の提供、18歳未満の医療費などの無料化を含めた教育費完全無償化も掲げていますが、財源はどのように確保するんでしょうか。

「まず自主財源が3000億円ある中から、200億円くらい予備費を使います。そこへさらに県債を約400億円発行して、教育費無償化はおおよそ600億円あれば実現可能という試算をしている。内訳としては教育費で300億円、給食費は80億円、朝食の提供が45億円、そして医療費は100億円です。再来年度からは教育税を設けて、累進課税で徴収させてもらって200億円くらいは集める計画です。県債については、基準からすると沖縄はいくらでも出せる状況にあると考えていますね」

 ―“ザル経済”についての言及もあります。県内企業優先のための経済政策はどのようなことを考えてるんですか。

「まず、現在の事業は県内の企業は本土の企業と交渉そのものもできないので、それを沖縄の政治家として、開発認可を出す時にも、県内企業をどこまで使うのかという協定書を結んでから許可します。発注のあり方も、県内企業が全て取れるような形に変える。ただ、ザル経済はこんな小さな島の沖縄経済界だけでは変えられないのも事実なんですよね。だから政治でやらなければならないし、それが政治家の役割だということです。システム自体に働きかけなければならないんですよ。然るべき条例を作って、県外のホテルだとしても最低でも内装などに琉球ガラスとかやちむんとか、県産のものを組み込む仕組みを整備したいと思っています」

税収増のために観光客2,000万人が必須

 ―観光については2,000万人という数字も出しています。1,000万人超えた時点でオーバーツーリズムの話が出ていましたが、その辺りの受け入れも含めてどう対処していくんでしょうか?

「自立する経済にはどうしてもこの数字が必要になってきます。今が3,000億円ぐらいの税収でしょう。それを倍加して6,000億円にはしたいですね。3分の2を自主財源でやっていくと、1,500億円くらいの沖縄予算規模をつくることができる。そうすると環境が変わってきます。そのために、2,000万人という数字は揺るぎないものにしていこうと考えています
 インフラ面から言うと、当然今のままで2,000万人にしたら例えば、交通渋滞が大変なことになりますね。今レンタカー不足の話もあります。2,000万人全員がレンタカーを使ったら那覇市内の道は全部渋滞になってしまう。だから、そのために鉄軌道が必要になるんです。北部までぐるっと通して、北部まで行ってからレンタカーを借りればいい。鉄軌道は国費で30億円かけて、私がつけた調査費が出ているんです。あとは実際にやるだけという状態です。本当は復帰50年事業でやるべきだったんですが、来年に51年事業でやりましょう(笑)」

 ―今回は政党などの組織的な後ろ盾が無く、厳しい闘いが予想されますがどんな風に闘っていく算段を立てていますか。

「私は今『全ての人にどうしたら届くか』ということを主題にして政策を掲げて取り組んでいます。これがポイントなんです。他の候補者の主張が届く範囲は経済界や労働組合など、届く相手が決まっていますね。1日14時間自転車乗りまわしているのは、企業頼りじゃなくて、全ての人たちに下地幹郎を見てもらって街頭で聞いてもらおうというのが最大の目的だし、そのための作戦なんです。大衆に語りかけて、大衆が勝たせた下地幹郎になりたい。命を賭けて、全てを賭けて全てを変えるという思いは中途半端なものじゃないんですよ」

■関連リンク
ミキオポスト 前衆議院議員下地ミキオオフィシャルサイト
沖縄県知事選 観光関連政策は?マニフェスト発表会に3氏が登壇 ‖ HUB沖縄
経済、辺野古、教育…沖縄県知事選候補予定者の主張は? JC公開討論会 ‖ HUB沖縄

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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