沖縄県知事選 観光関連政策は?マニフェスト発表会に3氏が登壇
- 2022/8/19
- 政治
県内での人材確保に向けて
沖縄県内での人材確保や育成についての質問で、佐喜眞氏は「観光産業から離職してしまった人の呼び戻しも含めて、人材確保は重要課題です」とし、観光関連産業従事者の所得アップを掲げた。沖縄県の観光振興計画での目標値である「20代観光業正社員の平均年収280万円」に対しては「私はまだ十分だと思っておりません。若年層の離職率が高く、より一層の処遇改善が必要だと考えています」と述べた。離島の事業者に対する支援制度や、観光産業を幅広く学べる専門学校や大学の誘致にも触れた。
下地氏は外国人留学生の受け入れも視野に入れ「沖縄高専を4年制大学に変えて、観光学科を明確に設置していきます。専門学校にも全て観光学科を置いてもらいます」と大胆な策を紹介。また、沖縄振興法特別措置法の補助で琉球大学に観光系の学科が創設されたという経緯を述べた上で「沖縄振興策の中に『観光人材を育てる』と明確に書くことで、お金が(国から)出ることになる」と力説した。コロナ感染対策として国から出る臨時交付金については「全て観光産業に充てる」と断言した。
玉城氏は「観光産業の人材不足は、景気が良かったコロナ禍以前からの課題でもありました」と、長年の課題であることを指摘。観光業を体系的にマネジメントできる高度人材も含めた人材育成・確保も、今年度から始まっている沖縄振興計画に盛り込まれているとした。観光人材のスキル向上、学生と企業の適正マッチングやインターンシップの推進、雇用環境の改善の他「外国人も経営に参画してもらって、その人の出身地での人材の掘り起しも積極的に行えるようなシステムも構築していきたいです」と展望を語った。
持続可能な観光の推進
持続可能な観光の推進について問われた質問で、佐喜眞氏は「観光客を取り戻すことと、さらなる観光振興の方向性をどう定めるかの両方が大きな課題です」と述べ、中でもインバウンド誘致を重要視。「海外からの航空便の再誘致などを知事としてトップセールスで行いたい」とした。空手や琉舞、エイサーなどの文化・芸能・伝統を一元的に発信できるような拠点整備にも意欲を示した。また、水際対策の徹底、オーバーツーリズムで生じる自然や生活面などへの問題対応にも言及した。
下地氏は、長期的に観光客を受け入れる体制作りの一環として、那覇空港、宮古空港、新石垣空港、久米島空港、下地島空港といった県内の空港を全て民営化することを提唱した。「トップに能力ある人材を招き、北米や欧州からの直行便誘致につなげたい」とした。また、那覇空港に関しては「あの規模の空港では世界的な空港にはなれません」として「造り替える」とのプランを示した。修学旅行への移動費などの補助、5万人規模のMICE施設の早期実現、音楽イベントなどでの集客などにも力を入れたいとした。
玉城氏は、沖縄が世界から選ばれる観光地となるために「沖縄の豊かな自然環境や独自の歴史・文化などソフトパワーにさらなる魅力や付加価値を付けたい」と述べた。また、DXを推進して行政と観光事業者がビックデータを共有し、マーケティングなどに活用していく点も強調した。また、エイサーやロックなど、沖縄がこれまで歩んできた歴史の中に観光資源があることを踏まえて「それらの魅力をつなげ合わせて、新しい魅力を創造し、そこにたくさんの人材が集うことを期待しています」と語った。