3年ぶり開催! 「県身体障害者スポーツ大会」アーチェリー競技の魅力とは

 
真剣な表情で的を狙うアーチェリーの選手たち=8月7日、浦添市の県立鏡が丘特別支援学校

 的に狙いを定めるその表情は真剣そのもの。思い通りに射ることができても、できなくても、選手たちには柔らかな笑みが浮かぶ。浦添市の県立鏡が丘特別支援学校で8月7日に開催されたアーチェリーの試合でのひとコマだ。

5種目の開催 アーチェリーで幕開け

 県障害者スポーツ大会は今年で48回目(コロナ禍で開催されなかった昨年、一昨年を含む)を迎えた。水泳、卓球、陸上、フライングディスクに、開幕競技のアーチェリーを合わせ5種目が10月まで行われる予定だ。

 大会は実に3年ぶり。県内の障がい者アーチェリー選手にとっては、新型コロナの影響で鏡が丘特別支援学校や宜野湾高校内など数少ない射場が去年秋ごろまで使用できず、練習もままならなかった。公式試合自体も3年ぶりで、思うような射撃ができたという出場者は少なかったが、何より弦を弾けたこと、試合ができた喜びが関係者を含め会場全体を和やかな雰囲気にした。

沖縄独自 初心者でも参加しやすい工夫

選手と審判員が一緒に得点を計算する

 アーチェリーは、例えばオリンピックだと70m先の直径1.22メートルの的のさらに中心、直径12.2センチの円で最高点となる10のエリアを狙って矢を射る。そこから距離によって的の大きさも変わってくるが、障がい者スポーツの全国大会での競技距離(屋外)は30~50メートルがスタンダードだ。

 しかしこの距離で高得点につながる射的をすることは簡単ではない。そこで県内の大会では、初心者でも楽しめるようにと10、15、20メートルの特別種目を設けている。決められた本数を放った後は記録員とともに的まで行き、矢を抜きながら得点の確認を行う。それは正に選手にとってドキドキの瞬間。この感覚も3年ぶりだ。

”対等に戦える”スポーツ

熟練の技を披露する伊波秀輝さん

 大会出場者は12人。その1人で競技歴約30年の伊波秀輝さん(那覇市)は、アーチェリーの魅力を健常者と障がい者が対等に戦えるところにあると語る。

 「母校がここ鏡が丘特別支援学校で、唯一の部活がアーチェリーだったこともあり始めました。県身体障害者福祉協会やアーチェリー協会、運営を手伝ってくれた宜野湾高校の生徒さんたちなど、多くの人のおかげて大会ができたことに感謝しています」

 初心者にもアドバイスを送り、3年前の全国大会では県代表の座を射止めた伊波さんだが、その時は台風で中止に。さらに直近2年はコロナ禍で大会自体が行われなかったが、その間も前向きに自主トレーニングを続けてきた。この日の出来は満足できるものではなかったが、見えた課題に取り組みたいと力強く話した。

心身の健康とウィズコロナ

遠く離れた的を狙う選手たち。的の距離は各参加者の実力に応じて異なる

 今回3年ぶりの開催に至ったのは、さまざまなスポーツの開催状況を見て判断した側面もあるが、何より「競技者からの要望の声が大きかったから」だと大会関係者は説明する。心身の健康のためのスポーツの場を、いつ落ち着くか先の見えないコロナ禍の中でどう開催し、守っていくのか。障がい者競技のアーチェリーでは、来月九州で大会が行われる予定だが、感染状況を踏まえて沖縄からの出場は見送られる見通しだ。目まぐるしく変わる感染状況を見定めながら、選手や関係者の努力が続いている。

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