立候補予定者が辺野古問題で論戦 沖縄県知事選JC公開討論会

 

クロストークでは辺野古問題が主題に

 クロストークでは、それぞれの候補予定者が主張している政策について互いに疑問や指摘し合って議論を交わした。主に話題に上ったのは普天間飛行場の辺野古移設問題について。返還時期や政策としての優先順位、危険性の除去などについて切り込んだ。

<玉城氏→佐喜眞氏>

 玉城氏「佐喜眞さんは政策で、辺野古移設を容認すると同時に普天間飛行場の返還を2030年までにするとおっしゃっています。なぜ2030年なんでしょうか。あと8年も放置するのではなく、今すぐ危険性を除去するよう実行すべきではないでしょうか」

 佐喜眞氏「普天間飛行場の返還合意から既に26年が経ち、危険性除去あるいは負担軽減が結果的には実現していない。それを踏まえて私は2030年までの返還という公約を掲げました。これが私の信念であり、私でなければできないと思っています。ただ、30年まで危険性除去や負担軽減をそのままにしておくのではなくて、できることは全てやる。例えば埋め立てが完了間近である場所に、事前に飛行機やヘリを移駐するとか、あるいは県外の飛行場への訓練移転を行うなど。早期縮小を願いながら、最も早く返還できる交渉を政府や米国に働きかけたいと思います。何よりこの8年間、玉城知事は危険性の除去を放置していると言っても過言ではないので、しっかり現実を見据え、一刻も早く返還を実現できることを模索する姿勢で望みたい考えです」

<下地氏→玉城氏>

 下地氏「今日の政策説明で辺野古問題への言及が3番目でした。玉城さんが翁長さんの後継者として選ばれた最大の要因は辺野古問題の解決だったのではないかと思います。3番目という位置づけでいいのかということと、1坪たりとも埋め立てさせないと言ってきて、実情は30%近く埋め立てられている。このことについて政治家として責任を感じないのかということをお聞きしたい」

 玉城氏「確かに翁長知事は亡くなる前に辺野古に新しい基地は作らせないことを命がけで主張しました。その意志を継ぐという形で、多くの方々からその思いに支援をいただいたと考えています。しかし、私は辺野古が3番目でいいということは言ったことがありません。まず現状の経済をそうするか、子どもの貧困をどうするか、そして総合的な政策をどうするかというところで、やはり基地を返還させてこそ沖縄経済の発展が十分に見込めるんだということを実証させた形で丁寧に説明させてもらっていると考えています。ですから、私にとってはどれが1番ではなく、今すぐ取り組むべき課題。そして中長期的に取り組む方向性についてしっかりと説明できるように答えているということです。それから、平成30年12月14日から辺野古に土砂が投入されています。投入から3年8ヶ月が経ちました。令和4年5月現在で、投入された土砂は全体の10.6%です。7割を占める大浦湾側の軟弱地盤が非常に難工事であることは、下地さんもよくご存知だと思います。ですから、ここに基地を作らせない、県外・国外への移設を考えるべきであり、基地を作らせるための埋め立てはさせないという方向性で取り組んでいます」

<佐喜眞氏→下地氏>

 佐喜眞氏「普天間飛行場の返還や危険性の除去について、訓練を県外に移転して軍民共用するということを主張しています。それでは、危険性除去や騒音の解消にはつながらないと思いますし、周辺住民の方々が長い間望んでいる返還には逆行すると思うのですが、そのことについてお考えを聞かせてください」

 下地氏「私の提案は、普天間基地のオスプレイや外来機の訓練を馬毛島で行うようにする。今埋め立てられた場所にオスプレイを移駐する。そうすることで、普天間基地の訓練はなくなるし、オスプレイはいなくなる。その中で考えないといけないのは、伊丹空港周囲3kmの小中高校の数と普天間飛行場周囲3kmの数は、伊丹の方が多い。つまり、なぜ伊丹が世界一危険ではなくて普天間が危険かというと、米軍が訓練するからなんです。だから訓練移転をすれば、普通の飛行場になるし、そうなれば危険性の除去は完全に出来たことになります。北谷町の再開発や新都心の再開発と普天間の違いは、2800mの那覇空港よりも長い滑走路を普天間は有しているということなんです。危険の除去をした後、何をもって宜野湾の経済活性化につなげるかと考えた時に、普天間飛行場を民間飛行場として活用する。それを理解していただきたい」

 なお、今回の討論会に玉城氏、佐喜真氏、下地氏の他に登壇した2人のうち、屋辰夫氏は公務員の年収3割カットを主張した上で「共産主義で平等な社会を作り上げる」などと述べた。山口節生氏は米軍基地の撤去を訴え、公約として「全県民に10万円の食糧券を配布する」ことなどを掲げた。

■関連リンク
沖縄県知事選まで1カ月 コロナ禍の県政運営の評価、「保守分裂」の影響は… ∥ HUB沖縄
佐喜眞淳氏が沖縄県知事選に出馬表明 「経済危機突破」掲げる ∥ HUB沖縄
「保守、革新ではない新しい政治を」下地幹郎氏が政策発表 ∥ HUB沖縄

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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