新型コロナ「市中で感染拡大」 沖縄県が対策呼び掛け
- 2022/7/15
- 新型コロナ・医療
沖縄県内の新型コロナウイルス新規陽性者数は14日、3565人(前週比1176人増)となり、3日連続で過去最多を更新した。池田竹州副知事は同日、県庁で会見し、県民の活動が活発化していることから「市中で感染が拡大している。日常生活における気の緩みが感染リスクを高めることを重々認識する必要がある」と強調し、改めて日ごろからの感染対策徹底の重要性を訴えた。
池田副知事は、感染拡大の要因としてオミクロン株の派生型「BA.5」への置き換わりや、ワクチン接種の効果が弱まっていることに加え、県民の活動が活発化していることを指摘した。また、今後も新規陽性者が3000人を超える状況が続けば、行動制限を行う考えも示した。
県によると、県内の主な重点医療機関で勤務する医師と看護師、事務職員などの休業者数は、同日時点で708人と過去最多となり、その他の医療機関の休業者(409人)を合わせると、計1117人が勤務できない状況という。新規感染者が増える中で、医療現場の逼迫(ひっぱく)が続いている。
県庁で会見した県保健医療部の糸数公部長は、医療従事者の休業が増え、病床使用率も県全体で60%を超えている状況で、直ちに行動制限を措置しない理由について、オミクロン株出現以降、重症化率が低くなっていることを挙げた。
行動制限に経済界は慎重姿勢か
同日は、医療界や経済界、労働組合やPTA関係など県内各界で構成する「沖縄県新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」の初会合も県庁で開催された。県は、中長期的に県内で新型コロナにどう対応していくかを議論する場と説明しているが、現在の感染状況についても多く意見が出たという。
沖縄では、今年は3年ぶりに行動制限がなかったゴールデンウイークなどの影響により、経済で徐々に回復傾向がみられていた。日銀那覇支店が発表した7月の県内金融経済概況(主要指標は5月)では、景況判断を「厳しい状況にあるが、持ち直している」に引き上げたほか、沖縄労働局も県内求人に改善傾向がみられるとしている。
14日の会合では、経済界から「順調に経済が回復基調にあった。ここで何らかの制限がかかると影響がある。ただ、現状(の感染状況)は理解しなければいけない。良い方向で、中長期的に(経済と医療を)どう両立していくか、議論していきたい」との声が挙がったという。出席した県の担当者は、経済界からの意見は行動制限に慎重だったと受け止めたと語った。
県経済の主軸である観光がにぎわうシーズンを目前に、新規陽性者が大幅に増加した沖縄。行動制限をかけずに県民の意識向上などで乗り切れるか、試練の夏を迎えようとしている。
(記事・写真 宮古毎日新聞)
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