沖縄言葉を“聴く”アプリ初登場 日常会話でクスッと楽しく

 

「みんなで育てる世界一の方言アプリ」

 県内各地域それぞれの言葉「しまくとぅば」。沖縄県はしまくとぅばの普及継承を目指し、2013年に10年計画で「しまくとぅば普及推進計画」を策定、行政としても本格的に言語復興に乗り出した。同計画では前期(13~15年度)でしまくとぅばに親しみを持たせて県民の機運を育て、中期(16~18年度)で県民運動などで普及促進を進め、後期(19~22年度)で県民に定着、積極的に活用されていることを想定している。計画最終年度である2022年度にはしまくとぅばを「主に使う」「共通語と同じぐらい使う」「挨拶程度使う」人々が9割近く占めることを目標に掲げるが、2020年時点、実現は厳しい状況にある。

 かつて所属したバンド「All Japan Goith」時代にベーシストとして全国各地を駆け巡った金城さんは、沖縄の事を尋ねられても「地元の言葉や歌が分からない」という自身に疑問を持ち、沖縄の文化を学ぶ大切さを意識してきたという。楽曲にも沖縄の音階や音色を取り入れ始めた。

 「勉強して学ぶというよりは、まずは親しみやすくゲーム感覚で沖縄について学んでもらう入口になれば」と思いを語る。

 「単語数もどんどんグレードアップさせて、世界一の方言アプリを目指したいです。使っている皆で育てていければ。予算があれば多言語化して、ハワイや南米など世界のうちなーんちゅにも届けたいです」

「沖縄の文化に親しみ、学んでほしい」と話す金城さん=8月、糸満市内

歴史や地理のコンテンツも視野に

 金城さんの“野望”は尽きない。

 沖縄の言葉だけではなく、ゆくゆくは地理や歴史、雑学まで学べるゲーム開発を視野に入れている。

 「子どものころ、桃太郎電鉄(日本中を舞台にしたボードゲーム)で都道府県がどこにあるとか、その土地の名物を学んだ人も多いはずです。僕はゲームで『愛媛は四国にあって、みかんが有名なんだ』『山梨はブドウの産地なんだ』と学びました。その沖縄版があれば、もっと沖縄に詳しくなると考えています」

 琉球・沖縄史については、小学生の一時期を除いて、学校で学ぶことはなかった。

 「琉球の歴史上の人物がキャラクターになったカードゲームがあっても良いと思います。例えば沖縄にたくさんある城跡だけ考えてみても、その数に応じた歴史があるはずです」

 グローバリゼーションや情報化社会の急激な進行の中で、失われたもの、もしくは失われつつあるものを取り戻そうと挑戦する。ゲームやエンタメを文化継承へと昇華させようと突き進む金城さんに、いっぺーにふぇーでーびる。

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長濱 良起

投稿者記事一覧

フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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