在沖縄県ベトナム人協会18日設立!県内在住者3000人 経済連携も推進

 

「先輩として、後輩のために」

沖縄県内在住のベトナム出身者によるサッカー大会の様子=5月、西原町(フォンさん提供)

 在沖ベトナム人の中には、日本人と結婚して永住権を持つ人や、留学してそのまま日本で就職した人もいるが、多くを占めるのは技能実習生として訪れている人々だ。日本で生活している年月が短いためか、ルールや文化、習慣の違いからくる誤解やトラブルもあり、フォンさんは「日本でのイメージが良くないところがあります」と声を落とす。

 那覇市内の日本語学校に勤めるフォンさんは、2012年から沖縄で生活をしている。当時、沖縄にはベトナム出身者が少なく「自身の成長につながるから」と知り合いがゼロの状態からのスタートだった。新たに沖縄にやってきたベトナム人を招き入れる役割を果たしてきたという意味では、いわば“お姉さん的存在”でもある。

 フォンさんは「なんとか私が先輩として協会をまとめて、イベントなどを通してみんなが団結できるようにしていきたいです。忙しい日々ではありますが、後輩たちにとって良い未来を作りたいです」と思いを語る。

 日本に初めてやってきたベトナム人にとって生活上で戸惑う場面は多い。「例えば交通ルールの違いがそうです。車線の左右が逆ですし、曲がってはいけないポイントもあります。それで事故を起こすこともあります」(フォンさん)

 こうした事情から、ルールやマナーについての共有をより効率的に進めるために、前々から協会設立の必要性は感じていた。沖縄のベトナム人人口が増えていく中で、在福岡ベトナム総領事などベトナム政府からの助言やアドバイスももらい、組織設立が実現する運びとなった。

「ベトナムと沖縄が一緒に発展していけたら」

 ベトナムと沖縄を経済的につないでいくという点も、同協会が力を入れていく部分だ。ベトナムを含めた東南アジアと沖縄の貿易強化にも取り組んでいくという。地理的にも飛行機で3時間半程度と、恵まれた条件にある。

 フォンさんは「沖縄はもともと、琉球王朝の時から東南アジア各地と貿易をしてきているので、経済の強いつながりが作れると思っています」と、中継貿易の拠点を果たしてきた琉球の歴史に今を重ねる。「沖縄は私の第二のふるさとなので、ベトナムと沖縄が連携しながら一緒に発展していけたらと思います」

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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