沖縄⇔ウクライナ直接質疑 映像で現地「祈りや金銭支援を」

 

「ウクライナ侵攻は、ブダペスト覚書に違反」

 冒頭ではウクライナの成り立ちや実情についてコバルチュークさんからの説明もあった。ウクライナは長い歴史の中で領土争いが絶えず繰り広げられており、独裁者の下での生活が長い中でも、キリスト教の影響を受けながら人々が文化を形成していった経緯が紹介された。このような歴史から、さまざまな民族が共に暮らす多民族国家でもある。

 ヨーロッパの中でもクリスチャンの割合が非常に高いウクライナでは、信仰が強い支えになっているという。「弟が戦場の前線にいます。神様が弟の命も、家族も、ウクライナの人々全員が救われるようにと私も祈りをささげています」と語った。

 また、ソ連時代の名残で、かつては世界第3位の核保有国だったウクライナが、アメリカ、イギリス、ロシアからの安全保障を条件に核を放棄した「ブダペスト覚書」に触れながら「ロシアによる2014年のクリミア併合や、今回のウクライナ侵攻は、ブダペスト覚書に違反している」と批判した。

NPO代表田中氏「これを許せば次はアジアの可能性」

 コバルチュークさんの通訳も務めた夫の比嘉啓勝さんは、自身がウクライナを訪れた際、一般の人でも自宅に地下シェルターを持っていることに驚いたという。「寒い国なので備蓄倉庫として利用していることや、ソ連時代の核戦争への備えからシェルターがあるのは一般的とのことです。沖縄戦の防空壕のように地下に隠れています」

 2018年からウクライナでの支援活動を行うNPO法人「JADE-緊急開発支援機構」理事長の田中洋人さんも登壇した。

 ロシアがウクライナに侵攻したことについて「これを許せば次はアジアで起きる可能性が高い」と述べ、中国が台湾に侵攻する「台湾有事」について言及。「ウクライナの人々は陸続きのポーランドなどに避難していますが、台湾からの避難民は海を渡るしかないので沖縄に逃げると僕は考えます。大量の難民が船で渡ってくることを想定すると、支援が難しく大変なことになります。だからこそ、一人ひとりが声を上げて、戦争をしない、戦争をさせない、ということが大事です」と警鐘を鳴らした。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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