沖縄で進む軍事拠点化 「台湾有事」を回避するために

 

6.沖縄を戦場にさせないために

 日米の政治家やメディアが台湾有事(戦争)を声高に叫び、人々の危機感を煽っています。安倍前首相は「台湾有事(戦争)は日本の有事(戦争)」とまで言い切り、国会の議論でも敵基地攻撃能力の保持という言葉が大きな批判を帯びることなしに闊歩するまでになりました。先制攻撃容認論が大真面目で議論されるのもそう遠くはないでしょう。中台関係は複雑で歴史や国際社会における両国の地位、双方の経済的な依存関係、台湾の市民社会の意識など様々な要因が絡み合っています。それにも拘わらず軍事的な解決一辺倒の議論しか聞こえてこないのは異様という他ありません。軍事的な解決はないのです。中国・アメリカのどちらかが勝つということもありません。ましてや日本がアメリカについて中国と戦争をするなどということは破局以外のなにものでもありません。

 日本は中国と平和友好条約を結び正規の国交があります。台湾とは国交はありませんが経済・文化面での交流で太いパイプを持ち、互いが友好国であることを認めています。そして日本は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」(前文)、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」(第9条)と憲法で定めています。

 日本のとるべき道は中国と台湾との仲介によって武力によらない平和を目指すことしかないのです。1月31日、沖縄で「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」が発足しました。この会は、「南西諸島を軍事拠点化する日米共同作戦計画に反対する」ことを目的にし、沖縄を再び戦場にさせないために活動する方針を掲げています。沖縄を二度と戦場にさせないということは、基地賛成・反対に関わりなく、また保守・革新の別に関わりなくすべての人たちの一致した立場だと思います。沖縄の人々が一致して反対すれば本土の人たちにも共感が広がり、政治を変えることもできるはずです。沖縄が戦場になるということは、同じく軍事基地を抱える本土も戦場になるということなのです。そして本土の市民だけではなく、台湾の市民とも同じ思いを共有することが大切です。

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谷山博史

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日本国際ボランティアセンター(JVC)顧問。日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-Net)顧問。市民社会スペースNGOアクションネットワーク(NANCiS)コーディネーター。沖縄県名護市在住。
1958年東京生まれ。大学院在学中からJVCにボランティアとして参加。1986年からJVCのスタッフとしてタイ、ラオス、カンボジア、アフガニスタンに計12年間駐在。東京では事務局長と代表理事を20年務める。2015年から2019年まで国際協力NGOセンター(JANIC)理事長。著書に「『積極的平和主義』は紛争地に何をもたらすか?!」(編著、合同出版)「非戦・対話・NGO」(編著、新評論)「平和学から世界を見る」(共著、成文堂)など。

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