沖縄で進む軍事拠点化 「台湾有事」を回避するために

 

2.大規模化する自衛隊の訓練

 昨年の9月には全国の陸上自衛隊10万人を動員した演習、「陸演」が沖縄で繰り広げられました。11月には陸海空の自衛隊3万人と米軍5千8百人参加の統合演習がやはり沖縄で行われました。この時自衛隊は地元自治体の懸念や抗議の声をよそに民間の船舶や港湾施設を使いました。

 軍事評論家の小西誠さんは昨年12月18日に那覇で開催された「第6回 島々シンポジウム」で、自衛隊が堂々と市街地訓練をするところまで来ていると言います。

 小西さんによると、初めは控え目にやってきて住民を安心させ、徐々に軍隊本来の顔に慣れさせるやり方だそうです。やがて基地周辺から住民を排除し戦争に協力させることになると強い危機感を表しました。

 沖縄・南西諸島の軍事要塞化と並行して導入された法律に昨年6月に国会の強行採決で成立した土地規制法があります。土地規制法は、基地周辺や国境離島全域の住民を監視し、政府が基地機能を阻害する行為をするとみなした場合、懲役刑を含む刑罰によって住民の行動を規制するものです。毎日新聞が情報公開請求で入手した政府の内部文書では、「基地の機能を阻害する行為」の事例として「継続的な高所からの監視、盗聴等の活動」が例示されています(毎日新聞、「重要土地利用規制法の「機能阻害行為」政府想定の8事例が判明」)。騒音や軍用ヘリ・戦闘機からの落下物、PFAS被害に苦しむ基地周辺の住民による基地監視活動や抗議活動が規制の対象になる可能性があるのです。平時でさえ基地周辺の住民は監視・調査されますから、有事には「基地機能を阻害する恐れがある」というだけで基地周辺から排除される危険は大きくなるでしょう。(土地規制法については琉球新報寄稿文「住民監視の危険 土地規制法の問題点」(2021年10月1日版)参照 )

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