沖縄で進む軍事拠点化 「台湾有事」を回避するために

 

5.アメリカの戦争についていくことの危険

 私は紛争地での人道支援に携わってきたことから、アメリカによって「作られた」戦争を現場で何度も経験してきました。そこで見てきたことは、アメリカは戦争を起こすときの「手口」の数々です。湾岸戦争のときはイラクとクウェートの国境問題でクウェートをけしかけてイラクを挑発させ、イラクに対しては両国の戦争に関知しないと表明してクウェート侵攻にGOサインを出しました。

 コソボ紛争では、アメリカが「テロ組織」と称して非難していたコソボ解放戦線(KLA)を支持してNATO(北大西洋条約機構)のユーゴスラヴィア攻撃を行いました。開戦前のユーゴスラヴィア政府との交渉では、平和的解決の合意まであと一歩という土壇場で交渉国すべてを出し抜いて付属文書Bというユーゴ全土を占領するに等しい条件を突きつけました。ユーゴ政府が拒否することを分かってのことです。ユーゴスラヴィアが合意案を拒否したとして攻撃を支持する国際世論が高まりました。

 イラク戦争ではイラクが大量破壊兵器を製造・所有するという嘘の情報でイラク攻撃に踏み切りました。アフガニスタン戦争では9.11事件首謀者に関する証拠を示すことなくタリバーン攻撃に踏み切りました。戦争が始まってからはタリバーンの降伏提案も無視し戦争続行しました。アメリカは自国の軍隊維持と覇権と経済のために戦争を起こしてきた歴史があります。(詳しくは「『積極的平和主義』は紛争地に何をもたらすか?!」(谷山編著、合同出版)参照)

 もう一つ知っておかなければならないことは、アメリカはアメリカが実質的な支配権を持っている国に対してはたとえ同盟関係にあっても米軍が不利になればいつでも見捨てるということです。アメリカが仕掛けた戦争においてもそうです。アメリカがアフガニスタン政府抜きでタリバーンと米軍撤退の合意を交わし、アフガニスタン政府の形勢が不利であるにも関わらず撤退したのはついこの間のことです。

 さらにアメリカはアメリカが実質的な支配権をもっている同盟国に安全保障にかかわる独自の対外交渉を許しません。2006年から2008年にかけてアフガニスタン政府とタリバーンの和平の機運が高まった際、アメリカはアフガニスタン政府のタリバーンとの和平交渉に反対しました。(詳しくは岩波書店『世界』2021年11月号谷山寄稿「対テロ戦争とは何だったのか」参照)

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