衆議院選挙迫る<沖縄2区> 「革新1強」が続くのか。正念場のオール沖縄
- 2021/10/16
- 政治
10月31日投開票の衆議院議員総選挙の沖縄2区には、自民比例前職の宮崎政久氏(56)と、社民新人で前北中城村長の新垣邦男氏(65)、日本維新の会新人で元那覇市議の山川泰博氏(51)が立候補を表明している。その他、「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」公認の新人で心理カウンセラーの中村幸也氏(41)が出馬の意向を示していることも報じられている。
6期連続で当選した後に今期で引退を表明した前職・照屋寛徳氏の後継として「オール沖縄」勢力の支援を受ける新垣氏の革新票に対し、選挙区での当選で県民の付託を一身に受けたい宮崎氏と山川氏がどのように票を伸ばしていくのかに注目が集まる。
普天間と嘉手納抱える“基地の選挙区”
沖縄2区は、沖縄本島中部の一部である浦添市、宜野湾市、中頭郡(読谷村、嘉手納町、北谷町、北中城村、中城村、西原町)の2市3町3村からなる。
移設問題に揺れる米軍普天間飛行場がある宜野湾市や、極東最大の米空軍基地・嘉手納飛行場がある嘉手納町と北谷町、米軍那覇軍港の移設先として合意された浦添市など、多くの米軍基地を抱える選挙区でもある。
宮崎氏、政権与党として「直接政府に訴える」
宮崎氏は13日に、9月の自民党総裁選で全国的に注目を集めた前沖縄担当大臣の河野太郎氏と選挙区内の浦添市と北谷町で演説。総裁選で自身が支援した河野氏の知名度も借りながら有権者へ支持を呼び掛ける。政権与党である自民党からの候補者であることから「直接、素早く、沖縄の思いや考えを政府に訴える」ことをアピールする。
政策面では、日米地位協定の改正の他、新型コロナウイルスから県民の命と暮らしを守るとして、県内事業者への手厚い支援、迅速なワクチン接種の推進、事業モデル構築のための人財育成や金融支援の充実、手厚い資金繰り支援による雇用の維持を掲げている。
新垣氏、4期村長で「地方自治を熟知」
新垣氏は前職・照屋氏の後継としての存在感をアピールすると共に、4期に渡って北中城村長を務めたことから「地方自治の課題を熟知している」とする強みを票に結び付ける。また、「国策の負担が集中する沖縄2区」の候補者として、普天間基地の閉鎖、撤去、辺野古新基地建設断念、オスプレイの配備撤回を主張の大きな柱に据え「ウチナーンチュの『誇りと尊厳』を国政へ」とのスローガンを掲げる。
政策面では、新型コロナウイルス対策の他、憲法9条の理念を守ることでの平和構築、日米地位協定の全面改正、沖縄振興特別措置法の延長改正、中部広域都市圏構想などを挙げている。
山川氏、地方分権を推進
山川氏はもともと九州比例ブロックで日本維新の会の擁立を受けていたが、10月上旬になって小選挙区でも重複して出馬することを表明した。
比例区での立候補について9月5日付で書かれた自身のブログでは、沖縄戦や米軍施政権下の歴史など「沖縄には他県と異なる特殊事情がある」中で過重な基地負担に「県民は長い間苦悩している」として、名護市辺野古への基地建設には反対の立場を取る。また、沖縄の所得や教育などの水準が全国に比べて低いといった問題から、地方分権を推進し沖縄振興を従来の在り方から転換させることを主張している。
また、中村氏は自身のツイッターで立候補の意思を表明しているものの、現在のところ目立った活動は見られない。ツイッターでは子どもの不登校問題やネット上の誹謗中傷問題などに言及している。
「オール沖縄」勢力を巡る雲行き
20年近くも「革新1強」時代が続いた沖縄2区。しかしこのところ、2区を巡る雲行きは「オール沖縄」勢力にとって怪しくなってきているとも言える。
玉城デニー県知事を支える立場の県議会与党会派「おきなわ」を9月に離脱した浦添市選出の赤嶺昇県議会議長は、前回選では「オール沖縄」勢力候補の照屋氏を支援したが、今回はオール沖縄の対立軸にある自民候補の宮崎氏を支援すると表明した。
辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」勢力については、長らく経済界から支えてきた沖縄の企業グループ「金秀グループ」が、今回の衆院選では沖縄1区の自民前職・国場幸之助氏への支援を表明するなど、一枚岩でのまとまりにほころびが生じたことが影響を及ぼすことも予想される。