玉城知事の問責決議案、否決 新たな行政ミスで空転 沖縄県議会
- 2023/10/23
- 政治
沖縄県議会の9月定例会は23日、玉城デニー知事の問責決議案などを議論した。ただ、会期最終日の同日に、新たな行政ミスを県が議会側に報告したことから、開会直後から議会は空転。問責決議案は賛成少数で否決されたものの、登庁していなかった玉城知事が本会議に呼ばれ「議会の混乱を招いておわびする。(ミスが続く)一連の状況を深刻に受け止める」と陳謝した。
県では、行政手続きミスが相次いで発覚している。9月には昨年度の特別会計予算で違法に119万円の赤字を計上したと発表し、10月20日にも、県土木建築部の工事など2件の契約に関連してミスがあり、補助金約2億3000万円を受け取ることができない可能性があると明らかにしたばかりだった。
会議の冒頭、自民会派の島袋氏は「きょう(午前)11半頃、保健医療部から連絡があり、お昼時間に説明したことがあるということで自民会派に来た。その中で、コロナ対策の宿泊施設の事業で、莫大な予算を抱えて諸問題があることを説明していなかったということだった。会派に説明して終わらせようということで、隠蔽(いんぺい)体質だ。玉城知事を呼んでほしい」と強く抗議した。
問い合わせをした赤嶺議長は「知事は、本日は公務がないので(県庁に)来ていないとの回答があった」と報告。一方で、県政与党の照屋大河氏は「登庁していないのは間違いないようだが、すぐにも登庁すると聞いている。議会がこういう状況にあることを把握して、急ぎ執行部と協議するということだ」と説明した。
これに対し、島袋氏は「議長が問い合わせて、『今日は仕事がないから休みます』と言われている中で、なぜ与党の代表者だけがこういうことを言うのか。全国、どこを探してもこんな話はない」と批判した。
問責決議案は、沖縄県議会の自公会派や無所属の会に所属する議員など23人が提出したもの。「赤字状態の特別会計決算を違法に処理したことで内部統制が瓦解し、(県庁)本庁舎からのPFAS流出問題、個人情報の流出発覚など、県政の不始末が数え切れんばかりに表面化し、日々真摯に業務に携わる職員の士気低下が著しい」と指摘していた。
また、「普天間飛行場代替施設建設事業にかかる最高裁判決を受けてもなお、司法の終局的判断にあらがうという法治国家にもとる言動を繰り返してきた」と批判したほか、沖縄振興予算の減額などにも言及していた。
同決議案に対して反対の立場で討論に立った、県政与党の比嘉京子氏は「執行部には猛省を促したい」とした上で、「普天間飛行場代替施設建設事業で、承認するしないの判断は自治体の長の権限だ。国が『承認せよ』と勧告し、さらに『指示』をすることは、承認するしないの権限を自治体の長が有している法の意義を、自ら否定するもので、法治国家にもとると言わざるを得ない」と述べた。
また、沖縄縄振興予算の減額については「批判すべき、は知事の立場と沖縄振興予算を事実上リンクさせている政権の姿勢だ」と述べた。同決議案は、賛成少数で否決となった。
(記事・写真 宮古毎日新聞)