【参院選】伊波氏、古謝氏が那覇市内で打上式 あす投開票

 
それぞれの打上式で支持者とグータッチをする古謝玄太氏(左)と伊波洋一氏=9日、那覇市内

 7月10日投開票の参議院議員選挙は、6月22日の公示から18日間に及ぶ選挙戦の最終日を迎えた。沖縄選挙区で事実上の一騎打ちを繰り広げている無所属現職の伊波洋一氏(70)と自民新人で公明推薦の古謝玄太氏(38)は9日夕、大票田の那覇市内で打上式を行い、集まった多くの支持者と共に必勝を誓った。

 沖縄選挙区にはその他、NHK党新人の山本圭氏(42)、参政党新人の河野禎史氏(48)、幸福実現党新人の金城竜郎氏(58)が立候補している。

「この島を2度と戦場にしない」伊波氏

力強く政策を訴える伊波洋一氏

 伊波氏はこの日、午前中から那覇市と豊見城市の各地でスポット演説を行い、午後6時から那覇市泉崎の県民広場で打上式を行った。街頭にはイメージカラーの黄色いハチマキを巻いた支持者が集まり、訴えに耳を傾けた。

 政策で一番初めに訴えたのは基地問題。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設や、南西諸島での自衛隊の配備強化に反対する姿勢を明確にした上で「平和な沖縄をつくり、この島を2度と戦場にしないことを約束します。憲法9条の改悪を何としてもさせない、そして沖縄を軍事化させないようにしっかり取り組んでまいります」と力を込めた。

 物価高騰への対策としては消費税5%への減税を強調。子どもの貧困対策では「教育の無償化、医療の無償化など、子どもたちを取り巻く環境を改善し、しっかりと育つように取り組んでまいります」と注力することを誓った。長い選挙戦を振り返った上で「皆さんの思いをしっかり受け止め、国政に再び乗り込んでいく。投票箱が閉まるまで頑張っていきますので、最後まで支援をよろしくお願いします」と支持を求めた。

 演説会では、妻の成子さんもマイクを握った。一番近くで伊波さんを見てきた印象として、「本当に正直者で、ぶれずに自分の信念を貫いていく人」と紹介。「沖縄で生まれ育ち、働き、子育てをして、沖縄でずっと活動をし続けているからこそ、県民にとって必要な存在だと思います」と背中を押した。

伊波氏(右)への支持を訴える玉城デニー知事(中央)

 応援弁士には、新型コロナウイルスの療養期間を終え、8日に公務に復帰したばかりの玉城デニー知事も名を連ねた。「伊波さんは1期6年、ウチナーンチュのために仕事をしてきたよ、そういう経験を持っている人が強いんだよ、と周囲の人たちにどんどん声を掛けていってください。最後の最後まで、伊波を再び国会に送るために頑張っていきましょう」と呼び掛けた。

「議論をして前に進めていく」古謝氏

選挙戦最終日に支持を訴える古謝玄太氏

 那覇市おもろまちの沖縄県立博物館・美術館前交差点で打上式を行った古謝氏は、「みなさまのおかげでここまで来られました。本当にありがとうございます」と集まった支持者にお礼を述べた後、前日に凶弾に倒れた安倍晋三元首相の冥福を祈った。

 「沖縄の未来を、明るい希望を示したいという思いをずっと訴えてまいりました」と自身初めての選挙戦を振り返った古謝氏。人々の政治的主張の違いから「対立構造が生まれていったことを、選挙戦の18日間だけでも感じた」と述べた上で「聞く、げんた。」との自身のキャッチフレーズに関連して「沖縄の可能性や魅力をちゃんと引き出していくために、みなさんと議論をして全てを前に進めていくことが大事なんです」と、建設的な議論を国政につなげることを約束した。

 「現職と(選挙戦で)肩を並べるところまで来られたのは本当にみなさんのおかげです。ここまで来たら、勝たせてください」と語気を強め「よろしくお願いします」と三度繰り返して、選挙戦最終日の支持を訴えた。

 妻の亜希子さんは、大勢の支持者を前に感極まる表情を見せながら「15年前に人生のパートナーとして古謝玄太を選びましたが、後悔したことは一度もございません。皆様の1票を古謝玄太に託していただければ、絶対に後悔させません」と叫ぶように訴えた。

古謝氏への支持を訴える自民党の茂木敏充幹事長(中央)

 応援弁士として2度目の沖縄入りをした自民党の茂木敏充幹事長は、安倍元首相が死去する前日に「沖縄で勝つことがとっても大切なんだ。頑張ろうよ」と電話で声をかけてもらったとのエピソードを述べつつ「自民党にとって沖縄選挙区は最重要選挙区です。いかに自民党が古謝さんに大きな期待を持っているか。新人で知名度も無かったが、横一線に並ぶところまできました。そして安倍元総理にいい結果を報告したいと思っています」と最後の支持を呼び掛けた。

県警が警備体制強化 安倍元首相の死去受け

 候補者の演説では伊波氏、古謝氏の双方とも安倍元首相を悼んだ。

 伊波氏は演説の冒頭で「凶弾に倒れた安倍元首相に哀悼の意を表します」と切り出し、「本当にこんなことが起こるとは思いませんでした。日本もこのような事態が起きる状況になってしまったことを残念に思います。暴力を使うことは絶対に許されません」と犯人を強く非難した。

 古謝陣営の打上げ式では冒頭、安倍元首相に対して1分間の黙とうが捧げられた。古謝氏は「10年以上の公務員人生の7割は安倍元総理の下でお仕えしていました。いろんなことを学ばせていただきました。激励の言葉も頂きました」と振り返り、追悼した。

 茂木幹事長や、西銘恒三郎復興大臣・沖縄担当大臣といった政府要人が登壇した古謝陣営の打上式では、県警やSPによる警備が強化された。交差点の各所に警察官が配置された他、大臣らの背後にはSPがぴったりと着いた。警備のためと思われるヘリコプターが上空を旋回しているのも確認された。

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