有権者は市政継承を選択 うるま市長選 知事選への動きも加速

 
当確の報を受けて支持者と万歳する中村正人氏(前列中央)

「今回の選挙を通して、島袋俊夫市長が築いてきたこのうるま市を発展させていくためのバトンを受け継ぐことができた。多くの市民の皆さんや市職員と膝を交え、寄り添い、命と暮らしを守っていくことに頑張りたい」(中村正人氏)

 4月25日に投開票された任期満了に伴ううるま市長選は、無所属新人で前市議の中村正人氏が初当選を果たして幕を閉じた。午後11時過ぎに当確の報を受けた陣営が大きく沸き上がる中、中村氏本人は噛み締めるようにゆっくりと目を閉じて立ち上がり、支持者に頭を下げて感謝を示した。

 中村氏は27,597票を獲得し、一騎討ちとなった相手候補の照屋寛之氏に1,862票差での勝利となった。来年の知事選での県政奪還を目指す自民・公明両党にとっては、今年行われた宮古島市長選、浦添市長選の3選挙の中で、浦添に続いての2連勝となる。自民党県連幹部は「潮目が変わった」と評し、今後の選挙戦に向けてさらなる勢いをつける契機としたい構えだ。

島袋市政の「後継者」として(中村氏)

 中村氏は6期22年間の市議経験で積んだ実績を示しながら、島袋市政の「後継者」という立ち位置をアピールすることで、コロナ禍での市政安定を印象付けて政策の浸透を図った。昨年末には出馬表明し、今年早々に事務所開きをして早期に体制を整えると、島袋市長から継ぐ基礎票も含めて、保守地盤であるうるま市の支持層の票を手堅く積んでいった。コロナ禍で「まん延防止等重点措置」が適用されていたことも影響してか、投票率が前回から約5ポイント下がったことは、票を着実に固めていた中村陣営にとってはある程度プラスに働いた。

家族と抱き合って当選を喜ぶ中村氏

 そうした中でも、3日攻防に突入してもなお「まだ相手陣営との差を感じており、かなりの危機感をもっていた」(選対関係者)。投開票前日の打ち上げ式でも中村氏本人の口から「まだまだ並んでいるとも思っていない」という言葉も述べられるなど、最終盤まで気を緩めずに選挙戦を展開し続けたことが“接戦”の明暗を分けた。

 結果的に、市政の継承か刷新かが争点として問われた今回の選挙は、市民が「継承」を選ぶ形で決着がつくことになった。

 県内政局に目を向けると、政府与党の自公勢力と玉城デニー知事率いる「オール沖縄」勢力との対立構図で、今後7月には那覇市議選、秋までに衆院選、そして年明けに名護、南城、石垣市長選が続き、その後知事選を迎える。

知事選に向けての牽制

 今回の中村勝利を受け、自民県連の中川京貴会長は「玉城知事の“お膝元”であるうるまで勝てたということは、オール沖縄の崩壊だと思っている。これまでの知事の水際対策は失態続きと言ってもいい」と息巻く。コロナ対策で「決定的な判断力や決断力を発揮できていない」玉城知事に対して、経済界からの不満が表出している現状を指摘し、県内経済の再建も含めた新型コロナへの取り組みが今後の政局の鍵を握るとした。

 さらに、県政与党の立場でありながら中村氏の支援にまわった会派おきなわの赤嶺昇氏も玉城知事のコロナ対策について「率直に言ってうまくいっておらず、厳しい状況と言わざるをえない」と批判。会派のスタンスについて「我々が変わっているわけではない。県政というのは辺野古だけじゃなくて、今1番大きいのはコロナだと考えている」と述べ、県政与党から距離を置いた姿勢を示した。中村氏の支援理由については「長い付き合いで、適任と判断したから」と説明した。

 中村氏の勝利は、知事選に向けた自公勢力の2勝目となったが、島袋俊夫氏と山内未子氏が争った前回市長選で5,753票だった票差が1,862票に縮まっており、投票率が下がった中で保守票が切り崩されたという見方もできる。
 中村選対本部には「照屋陣営が今回の選挙戦ではオール沖縄と共産党をあまり前面に出さず、革新色を抑えた結果、ある程度の票を集めることができたのかもしれない」と分析する関係者もいた。

 選挙戦の“天王山”となる知事選に向けて、県内政局各方面での動きが加速している。

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