農業のIT化で新たな沖縄の可能性を切り拓く「Speedy farm」の挑戦
- 2022/1/20
- 経済
どこに行っても自分は“よそ者”
コロナ禍になる前は国内外を飛び回り、年間の半分は海外に滞在するという生活スタイルだった。そのため「どこに行っても自分はよそ者という自覚がある」と福田さんは言う。
「色んな場所に行ってそこに滞在することになれば、当然その土地柄や歴史について勉強しますし、人も知らないといけない。そうすることで見えてくることはけっこう多いんですよ」
今年の年明けは福田さんが沖縄生活の拠点にしている地区の新年の参拝にも参加し、地域住民とともに19ヶ所のウガンジュ(拝所)を巡った。その後の新年会では歴代コミュニティ長と酒を酌み交わして、地元の人たちとの親交を深めたという。
「現在Speedyのリゾートホテルを建設中なんですが、来年の新年会の2次会場はその『Speedy Resorts』で開催するということが“決議”されました(笑)」
小さくとも需要を生むこと
感度の高いアンテナで時流を感知し、社名に違わず軽やかに“スピーディ”に動く福田さん。利益を生み出すことではなく「お金が集まる仕組み」自体に関心があるという。「コロナ禍での農業は時代にフィットしてると感じています」と確信を抱いている。
「フレキシブルに動ける人たちで取り組めば農業だけを本業にする必要もないし、あるいは農業の他にも事業をやっていれば『全部が本業』という位置付けでもいいんです。そういう新たなスタイルを持続できるエコサイクルを構築したいんです」
直近のビジョンは農作物を収穫し、プロモーションから販売までの一連の流れを全て自身のコントロール下で成立させるモデルを作ることだ。今夏の出荷を目指している作物もある。一定規模でマネタイズができれば、モデルをフリーシェアして農業の可能性をさらに広げる予定だという。
「色んなところで新たな需要を生むことが自分の役割だと思ってます。それが最初は小さなものでも、どんどん膨らんで世界規模の動きになるかもしれない」と語る福田さんの眼差しは、止まることのない時代という流れの上流と下流を同時に見据えていた。