農業のIT化で新たな沖縄の可能性を切り拓く「Speedy farm」の挑戦

 
福田淳さん

沖縄で農業を展開することには可能性しか感じてないんですよ。沖縄での取り組みを1つのトリガーにして、社会を変えられると考えています

 そう断言するのはブランドコンサルタントの福田淳さんだ。社長を務める会社「Speedy」では、コンサル業務やタレントエージェント、アートギャラリー運営など多岐に渡る事業を展開しているが、その中には農業もある。
 本島南部の南城市に既に6箇所の農場を「Speedy Farm」として展開しており、「農業をITとして捉える」ことがテーマだ。沖縄では“よそ者”であることを自覚しつつ、「Think global, act local」をモットーによそ者としての「act」を通して新たな可能性を求めて突き進んでいる。

IT化・持続可能性・直販の3つの柱

 Speedy Farmはコンセプトに①灌水(ドロッピング)システムや収穫の自動化などのハイテクを駆使した農業のIT化、②土壌改良と地元の水の使用、そして自然エネルギー発電も含むサスティナブルな仕組みの検討、③一般流通を通さずに消費者に直販できるD2Cを採用することで、いわゆる“規格外”の農作物も提供するという3つの柱を据える。

 6箇所計1haの農地では、スーパーフードとされるバオバブやアイスクリームのような口溶けのブルーバナナ、果肉と食感がキャビアのようなキャビアライムなど、沖縄の肥沃な土地を生かして希少な農作物の植え付けをしている。

 農地には沖縄科学技術大学院大学(OIST)に在籍するインド人研究者が創業した企業「EF POLYMER」が開発した、生ごみ由来のオーガニックポリマー(有機化合物)を導入。上述したコンセプトにもある、ゴミ問題の解決や土壌改良に直接的につながる試みだ。

なかなか目にすることのできない「キャビアライム」(福田さんのFBより)

 福田さんは「農業に関しては新参者ですが」と前置きしつつも、その立場だからこそ感じている問題点を指摘する。

「沖縄だけでなく日本における農業の現代的課題で言えば、『四季と水が豊か=日本の農作物は素晴らしい』という思い込みのせいで近代化が遅れてしまっているのではないかというのが私の仮説です。

 日本は人口に対して農家の数が実はとても多い上、収入の一部は税金による補助金で賄われています。この影響もあって、需給のバランスに関しても部分的に供給過多になっていることもあってとても健全とは言えませんし、現在の仕組みではたとえ良いものを作っていても生産者への利益は少ない。これは本当に皆が食べたい分量を置き去りにしてしまっているレフトーオーバー(残り物)という歪んだ形で表面化してます。

 そんな状況では特に小規模農家の人たちは新しいことに挑戦する体力がないし、考え方も改められません。これでは次世代に続くわけがないし、耕作放棄地がどんどん増えてしまう現状も必然と言っていいでしょう

 レフトオーバーについては、大手スーパーなど一般的な市場に流通させるための規格から外れた作物は“見た目重視”のために廃棄されている現状がある。加工するにも費用がかかるため、規格外品も含めて需要以上の量を収穫すると生産段階で廃棄せざるを得ない。また、沖縄でもサトウキビを想定需要以上に収穫し、加工・生産した黒糖の大量の在庫を抱えてしまうことが問題視されている。

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