「第6波の中で経済を回す方法の模索を」 沖縄県飲食業生活衛生同業組合理事長・鈴木洋一さん

 
アルコールの提供制限が緩和された10月の那覇市内

飲食業離れで深刻な人材不足

 ―コロナ禍での営業によって、飲食業経営者の意識の持ち方などに変化はありましたか。

「かなり変わってきたと思います。感染防止対策にしても、最初はちょっと油断しているような雰囲気でしたが、感染が広がって休業が長引いてからはさすがに真面目に取り組むようになってきていますね。

 あとはやはり業態の変化もありますね。テイクアウトとか宅配の類がすごく伸びているし、最近だと冷凍の自販機もトレンドになってきてます。この社会変化に合わせてメニューをリニューアルして、テイクアウトに寄せるお店も多くなりました。そうした中で食材仕入れなどの管理がシビアになってきたこともあり、食品ロスを意識したような動きも出てきてますね」

 ―長かった営業への制限が11月には全面的に解除されて、現在お客さんもお店に戻りつつあります。現段階で出てきている課題はありますか。

「顕著なのはやはり人材不足です。年末年始で忘年会・新年会の予約がボンボン入ってきてるにも関わらず、従業員が足りていない。営業再開を想定して雇用調整金を払い続けていたけど、いざ11月に再開となったタイミングで退職した人ケースもままあるようです。

 今後のコロナ禍での飲食業に不安で、他業種に転職した人も割と多くて、募集かけてもなかなか集まらない状況になっています。一方で廃業はまだほとんどなくて、むしろ新規開業も増えている。もっとも、この中には協力金目当てとおぼしきものもあるのかもしれないのですが…。

 協力金についてはある程度の期間継続している店舗に対して給付するもので、2021年直近で開業した事業者に対して出しているのは不公平だという不満も一定数あったりしますね」

 ―まだコロナの影響がゼロになるまでには時間がかかりそうです。年明け以降はどのような動きをしていく予定でしょうか。

第6波が来たと想定して、その中でも開業できるような形を模索して動いているところです。具体的には、ワクチン接種証明や検査陰性証明などを活用することで割引キャンペーンやクーポン補助などのインセンティブ付与を行い、ワクチン接種の推進につなげる事業を検討しており、県にも案を提出する予定です。

 飲食業者を中心に感染防止対策認証制度と接種・陰性証明活用事業とを並行して運用することで、感染拡大防止にも貢献できるでしょうし、参加店舗の安全性も含めたブランディングにもつげることができます。認証制度についても、飲食店の安全性向上のために基準が守られているかどうかの点検を定期的に実施して、精度を上げていこうと考えているところです。

 休業することなく経済活動を回していける方法を具体性をもって模索していくことが、“ウィズコロナ”の時期を飲食業界として乗り切れる道だと考えています」

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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