沖縄の景況「コロナ前に接近」 日銀那覇支店、判断引き上げ

 
2023年4月の県内金融経済概況について説明する日本銀行那覇支店の飯島浩太支店長=12日、那覇市の日本銀行那覇支店

 日銀那覇支店(飯島浩太支店長)は12日、2023年4月の県内金融経済概況(主要指標は2月)を発表し、県内景気の判断を「回復している」に引き上げた。飯島支店長は会見で、沖縄の経済活動について「コロナ禍前のレベルに近づいてきた」と強調した。資源高の影響はありながらも、観光や消費が回復する動きが続いているという。判断の引き上げは6カ月ぶり。

 同支店は、これまで県内景気の判断を「持ち直している」としていた。今回、観光や消費で回復が続いていることや、企業の景況感を示す「短観」がコロナ禍前の19年12月に迫る水準となったこと、外食関連産業から「売り上げがコロナ禍前を上回った」との声も聞かれるようになったことなどから、引き上げが適当と判断した。

 個別項目は、観光を「回復している」、公共投資は「足もとでは増加している」、設備投資は「持ち直している」に、それぞれ引き上げた。個人消費は「緩やかに増加している」との判断を維持した。

 観光では、主要ホテルの稼働率(2月)は69.5%で、1月の52.1%を上回った。3月の速報値は、73.2%まで上昇している。また、入域観光客数(同)は59万7900人となり、前年同月に比べ3.3倍に増加。インバウンド客も回復傾向にある。

 公共投資では、「公共工事保証請負額」(同)が前年同月から141.8%増えた。同支店では、「2021年後半以降、防衛関連や医療関連の大型案件が続いたが、昨年の後半ごろからは弱めの動きとなっていた。2月は、防衛関連などの大型案件があり、再び大幅に増加した」と分析している。

 設備投資では、着工建築物床面積(非居住用)が前年同月に比べ66.9%増となった。また、短観で調査した企業の設備投資も、3年連続の増加が見込まれるという。

 判断を維持した個人消費でも、百貨店・スーパー販売額(全店舗)が、前年同月比で9.5%増加するなど、堅調な動きを見せた。飯島支店長は「感染症の下で我慢していた消費が表れるペントアップ需要が大きいと思っているが、賃上げの動きが広がっていることも、消費を支える効果があるのではないかと思う」と指摘した。

 同支店は、県内景況の先行きについても「回復が続くとみられる」に引き上げた。

(記事・写真・図 宮古毎日新聞)


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