「#積極的にハゲる」で総再生回数2000万回の男が必ずハゲたい理由

 

コンプレックスの副産物

 それ以来、仲宗根さんは頭の形を隠すためにキャップを手放せなくなった。「朝起きて、夜眠る直前までずっとかぶっていました。家の中でさえもです。友人にも不思議がられるぐらいでした。トラウマレベルで、自分の頭の形が嫌でした」

 気づけばキャップを50個は持っていた。10年以上もそんな日々が続いたが、キャップを外せるようになったのは、意外なきっかけからだった。それは、ストリートワークアウトのショーだ。

 「キャップをかぶらずに、『丸坊主でサングラスだけ』という見た目の方が、人の印象にも残るのではないか、と思ったんです」

 案の定、この作戦は奏功した。「人々の注目が頭ではなくサングラスに行くようになりました」。コンプレックスだった頭はむしろステージライトを浴びるようになり、SNSでもたくさんの人に見られるようになった。

 「10代、20代のからかいって、そう考えると大変なことです」と当時を振り返る仲宗根さんも、キャップをかぶり続けたことで一つ良いことがあった。

 「ずっとかぶり続けてたんで、そのおかげで頭頂部がハゲてきていたんですよ、無意識に」

無意識にハゲることに成功したという仲宗根さんの頭頂部

「40歳までにはハゲきりたい」

 仲宗根さんにとってはもともと、ハゲるということがネガティブなことではなかった。海外の映画俳優には、髪が薄くてもカッコいいと感じられる人がたくさんいて、ハゲていることをプラスに捉えていた。

「外部からの情報でネガティブなものとして植え付けられているだけです。漫画でもアニメでも、ハゲは否定的に描かれることが多いですよね。でも、ちゃんと見つめ直したら、ハゲはそんなものではないということを言いたいです」

 SNSのコメント欄にも「筋肉とハゲとサングラスのセットがカッコいい」という声が寄せられ、肯定的な見方が増えていることも実感している。

 「40歳までにはハゲきりたい」と目標を掲げる。あと4、5年が勝負の時だ。「#積極的にハゲる」は、かつて頭の形でコンプレックスを抱いた自らのように、薄毛で悩む誰かのコンプレックスを吹き飛ばす力を持っている。

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長濱 良起

投稿者記事一覧

フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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