軽石で物資入らず離島では「パンの争奪戦」 今はどこに漂着中?

 

漁師「今のうちマグロ食べときなさい」

 漁港のうち「大量に漂着有り」で漁業に支障が出ているとした11漁港は辺士名、安田(いずれも国頭村)、港川(八重瀬町)、海野(南城市)、屋我地(名護市)、瀬良垣(恩納村)、新里(本部町)、運天(今帰仁村)、伊平屋、田名(いずれも伊平屋村)、久高(南城市)。そのうち、オイルフェンスを設置して対策をしているのは辺士名、安田、新里の3漁港。今のところ「漂着無し」としているいくつか漁港でもフェンスの設置をし、被害を未然に防ぐ努力をしている。

 「少量漂着有り」とされる漁港がある地域にも、不安が広がっている。
 7日に観光で久米島を訪れた女性は「漁師さんが『(これ以上状況が悪化したら)マグロが獲れなくなるかもしれないから、今のうち刺身食べときなさい』と冗談交じりに言っていました。軽石のせいで動かなくなった船もある、というような話題にもなっていました」と話す。

本島北部 出漁自粛6割超

 県は11月2日時点での出漁自粛調査をまとめている。3回目となるこの調査では、県内36漁協への聞き取りによって行われたもので、軽石が原因となったエンジントラブルの被害隻数は100隻で、そのうち航行不能となったものは16隻となった。100隻のうち、地域別では本島北部が56隻と最多を占め、残りすべてに当たる44隻は本島中南部の船だった。

沖縄県の資料より

 エンジントラブルなど直接的な故障などがなくても、出漁の自粛を行う船も相次いでいる。本島北部の漁船718隻中443隻(61.7%)、本島中南部の漁船1620隻中763隻(47.1%)が出漁を自粛している。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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