オリオン新商品DOSEE 国内未開拓ジャンルを沖縄から突破

 
同社HPより

 オリオンビール株式会社(豊見城市、早瀬京鋳社長)は23日、新感覚のアルコール飲料「DOSEE(ドゥ―シー)」を沖縄県と関東地区の一都三県で同時発売する。低アルコール度数の炭酸飲料「ハードセルツァー」というジャンルで、若者をターゲットに見据えて、国内では大手メーカーが未開拓の市場に初めて本格参入する。

アメリカで大人気「2019年頃から」

 同社によると、ハードセルツァーの特徴として低カロリー、低糖類・低糖質、バラエティに富んだフレーバー、甘さ控えめ、パッケージデザインのスタイリッシュさが挙げられる。アメリカでは若者を中心に“ビールの代替品”としても人気を集め、大小を問わず多くのメーカーが続々と商品を発売しているという。

 アメリカのペンシルバニア州在住で県出身のジェニファー・リーニングさん(34)は「特に若い女性を中心に2019年頃から人気が出始めました。カロリーが低くてさっぱりしているのが人気の秘訣だと思います」と本場の現地事情を語る。

 DOSSEブランドとしては今回、シークヮーサー、グレープフルーツ、アセロラの3種類をラインナップした。沖縄の言葉で友だちを意味する「どぅし」ともかけられ、担当者は「コロナ禍で今は難しいかもしれないですが、みんなで楽しく飲んでほしいとの思いを込めています」と話す。県産月桃のエキスも使用し、飲みごたえをプラスした。

 アルコール度数は2%。これまではチューハイのWATTAブランドで3%の商品はあったが、それ以上に低い度数となっている。

若者の「低アルコール指向」に合わせて

 このような低アルコール度数商品の誕生背景の一つには、若年層の飲酒との向き合い方の変化がある。
 同社が昨年6月に実施した調査によると、「アルコール度数が低めのお酒を選びたい」としたのは、ジェネレーションZ(20~24歳)で約45%、ミレニアル世代(25~36歳)で約30%と、それ以上の世代がおおむね20~25%なのに対して高い傾向があったことを踏まえ「ナチュラル&健康志向」をテーマに商品開発を進めた。

 オリオンビールは、健康被害を予防する観点から、2020年1月にも9%の高度数チューハイの生産を終了していた。

たくさんの「初めて」を詰める

 DOSEEには、オリオンビールにとって初めてとなる試みがいくつかある。

 ハードセルツァーの発売、握りやすい細身の250ml缶の採用の他、県内外同時発売も同社初の試みだ。発売前後に合わせて、都内で試飲会やサンプリングも積極的に行い、広告を車体にラッピングして街中を走るアドカーには「日本のハードセルツァーはオリオンから!」との文言を踊らせた。

若い社員の発案で

 DOSEEの誕生の発端には、若い社員からの提案もあった。

 マーケティング本部オリオン・ブランドマネジメント課の新垣壱馬さんは一昨年、ビール醸造の研修で向かったアメリカで、ハードセルツァーというカテゴリーを知った。バーやスーパーでは当たり前のように並んでおり「もうすでに流行っていて、若い人たちに人気がありました」と知見を蓄えた。

アメリカ研修時を振り返る新垣壱馬さん

 同課の吉田直樹課長は「昨年末から開発を進めていました。業界的には存在自体は以前から知られていたため『いつ他のメーカーが出してもおかしくない』という状況でした」と振り返り、国内市場を沖縄から突破していく。


長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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