沖縄の「健康長寿」はどこへ…平均寿命が年々悪化 2020年都道府県別生命表
- 2022/12/25
- 社会
沖縄の「長寿県」という称号はもはや過去のものとなった。厚生労働省が12月23日に発表した「2020年都道府県別生命表」で、沖縄県の平均寿命は男性が80.73歳でワースト5位の全国43位。女性は87.88歳の16位で、前回統計(2015年)の7位から後退する結果となっている。さらに、年齢別で見る平均余命では、沖縄の75歳は男性が全国2位、女性は全国1位で上位に位置しているが、20歳・40歳では男性が43位でワースト5、女性は15位と大きく順位を下げており、若年者ほど寿命が短くなる傾向が示され、世代間で大きな開きが出た。
また、死因別死亡確率では、県内で爆発的に感染が広がった影響もあり、新型コロナウイルスが男女ともに全国1位に。加えて、男性では肝疾患、女性では肝疾患に加えて糖尿病も全国1位となった。
男女ともに統計の度に順位下落
都道府県別生命表は、都道府県単位で死亡状況を比較・分析するために国勢調査の人口や、人口動態統計の死亡数と出生届に基づいて5年ごとに作成されている。統計結果は全国が1965年から算出・発表されており今回が12回目で、沖縄は本土復帰後の1975年から加わり今回が10回目となる。
2020年の男性の全国平均寿命は81.49歳で1位は滋賀の82.73歳、女性は平均87.60歳で1位は岡山の88.29歳。最下位は男女ともに青森県で、男性が79.27歳、女性は86.33歳だった。
平均寿命の年次推移を見てみると、沖縄の男性は1975年に10位(72.15歳)1985年に1位(76.34歳)、1995年に4位(77.22歳)、2005年には25位(78.64歳)まで急落し、前回の2015年に36位(80.27歳)。そして今回はさらに下落して43位(80.73歳)の全国ワースト5となった。
一方、沖縄の女性の推移は1975~2005年までは全て1位で、それぞれの年の平均寿命は1975年が78.96歳、1985年が83.70歳、1995年が85.08歳、2005年が86.88歳。前回の2005年は7位(87.44歳)に落とし、さらに今回は16位(87.88歳)まで下がる結果となった。
また、「平均寿命の延び」については、男女ともに前回調査よりも延びてはいるが他府県に比べると鈍い数値となった。男性は全国平均が0.72年の延びに対して、沖縄は0.46年でワースト。女性は平均0.60年に対して0.44年で37位。平均寿命の男女差は全国平均の6.11年に対して沖縄は7.15年で最も高く、全ての県で男性が女性よりも短かった。
若年者ほど寿命が短くなる傾向
0、20、40、65、75歳で分けられた主な年齢の平均余命では、沖縄は若年者ほど寿命が短いという結果が算出され、先述した通り世代間で大きな差が出る結果となった。
沖縄の男性では75歳の平均余命が12.93年(全国2位)で寿命は87.93歳、65歳の余命は20.07年(15位)で寿命は85.07歳となる。これが40歳になると余命が41.71年(43位)で81.71歳まで下がり、20歳では61.08年(43位)で81.08歳、そして0歳では余命と寿命が同一の数値で80.73年/歳(43位)という算出結果だ。
女性の平均余命は75歳・65歳がそれぞれ全国1位につけているものの、40歳・20歳は15位、0歳は16位となっており、男女ともに“働き盛り”の世代の寿命が短くなる傾向にあるのが現状となっている。
県は「21世紀ビジョン基本計画」で「2040年に男女とも平均寿命日本一」を目標に掲げて、健康増進計画として位置づけている健康・長寿おきなわ復活プラン「健康おきなわ21」を推進しているほか、企業の経営者などが指揮をとって従業員の健康増進を図る「うちなー健康経営宣言」などの取り組みを行ってきた。
しかし、今回示された数字は決して楽観できるものではなく、これまでの取り組みがどれほどの実効性を有していたのかということについての検証は不可欠だ。その分析を今後の県民の健康増進計画の中でどのように活かしていくかが「長寿県」再興のカギになるだろう。