「須藤春輝」って何者? BリーグオールスターでU18からただ一人…

 
オールスターのスキルズチャレンジに向け、意気込みを語るキングスU18の須藤春輝=12月24日、沖縄アリーナのサブアリーナ(長嶺真輝撮影)

 来年1月13、14の両日、プロバスケットボールBリーグのオールスターゲームが茨城県水戸市のアダストリアみとアリーナで開かれる。オールスターといえばダンクコンテストやスリーポイントコンテストなど観客を楽しませる関連イベントも多彩だ。

 リーグを代表するハンドラーたちがドリブルやパス、シュートの精度を競う「スキルズチャレンジ」もその一つ。今回も日本代表ガードの富樫勇樹(千葉ジェッツ)や河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)、昨季リーグMVPの藤井祐眞(川崎ブレイブサンダース)ら壮々たる顔ぶれが並ぶ。その中で一人、明らかに異質なプレーヤーが名を連ねている。

 その名は、須藤春輝。

 Bリーグファンでもほとんどの人が耳にしたことがない名前だろう。それもそのはず。所属は琉球ゴールデンキングスの「U18」で、主に高校生がプレーするユースカテゴリだ。今回のオールスターでは、本戦、若手とアジア枠の選手が主体のアジアライジングスターゲーム、3種類のコンテストという計五つの主要イベントを通して、U18からの参加はただ一人という”サプライズ選出”だった。

 一体、何者なのか。

富樫らとスキルズチャレンジ出場「なんで自分が」

司令塔としてチームを引っ張る須藤©️琉球ゴールデンキングス

 須藤自身がスキルズチャレンジへの参加を知ったのは12月上旬のこと。「スキルズチャレンジに出ることが決まったからさ」。いつも通り練習を終えた後、キングスU18の与那嶺翼HCから突然伝えられた。Bリーグ各チームが所有するU18に所属する選手が、ユースチームを選択した理由を語るBリーグ公式サイトの動画「WHY U18」に出た時の映像や、須藤のプレーを見たオールスターの担当者がスキルズチャレンジへの参加を推してくれたのだという。

 初めは自身の他にもU18カテゴリから選手が選ばれていると思っていたため、そこまで大事には捉えていなかった。しかし12月8日に参加メンバーが公式に発表され、目を疑った。

 「発表の日にネットニュースで記事を見たら、前回スキルズチャレンジで優勝した多嶋朝飛選手や富樫選手とかの名前があって、初選出として河村勇輝選手と自分の名前が並んで書かれていたんです。しかもU18は自分しかいない。びっくりしたし、『なんで自分が』という感じでした。その時からずっと緊張してます(笑)」

 ”祭り”の一環とはいえ、自身が幼い頃から憧れていた選手たちと同じ舞台に立つ。緊張するのも無理はない。それでも、貴重な機会を楽しもうとする気持ちも強いようだ。

 「当日も緊張するとは思うんですけど、自分が高校生カテゴリの代表のような形で参加するので、いい緊張感を保ちつつ、雰囲気を楽しめたらいいと思っています。自分の持ち味であるドリブルやスピードも見せたいですね」

8月の全国大会でベスト5選出

チームメートとハイタッチする須藤©️琉球ゴールデンキングス

 那覇市出身。2005年4月生まれで、現在は那覇高校2年の17歳。身長170cm、体重61kgのポイントガード。ハンドリング技術とアシスト能力は極めて高く、キングスU18では司令塔に加えて主将も務める。

 松島小学校2年の時、友人に誘われてバスケを始めた。一つ上の代は九州を制覇するなど好選手が揃っていたが、5年生の頃にはシックスマンなど主力として活躍。先輩たちが揃って進学した松島中学校でも1年の頃から試合に出ていた。

 中学2年に上がる前に転機が訪れる。bjリーグの頃からキングスに憧れていたこともあり、当時キングスが運営するアカデミーに通っていて、ある時コーチからキングスU15に誘われた。Bリーグのユースカテゴリはまだ草創期で、学校の部活に比べて公式戦が少ないなどのデメリットはあったが、「プロになりたい」という夢が指針となり移籍を決めた。

 「Bリーグユースはプロに近い環境で、指導者も元プロ選手の山城拓馬さんが当時キングスU15のヘッドコーチを務めていました。プロの経験を基に話をしてくれたり、それまで自分が経験してこなかったような視点でポイントガードの指導をしてくれました。キングスの選手もより身近に感じます。移籍の話をした時、中学の部活のチームメートが背中を押してくれたことも大きかったです」

 高校に進学する際も県外の強豪校を目指すか、結成したばかりのキングスU18に所属するか悩んだが、U15に入った時と同様な理由でユースチームを選択した。現在U18のヘッドコーチはキングスの元主将である与那嶺翼さんが務め、練習中にはトップチームの田代直希主将から同じキャプテンの立場で助言をもらうことも多いという。今夏にはトップチームのワークアウトにも参加した。

 ”プロに近い”という好環境は確実に成長の肥やしとなっており、今年8月のU18チャンピオンシップ(BリーグU18の全国大会)ではチームを3位に導き、自身は大会ベスト5に選ばれた。「雰囲気が悪い時にキャプテンが不安がったり、ネガティブな言動をしたりするとチームへの影響が大きい。強度の高いディフェンスで指揮を上げるなどして、チームにエナジーを与えたいです。オフコートでもチームメートに『今日学校どうだった?』とか声をかけることも意識してます」と強いキャプテンシーをのぞかせる。

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